【ACT 2】

ー戴冠式ー

1867年、ハンガリー国王の戴冠式。カテドラル前にて記念品を売り歩くルキーニ。
(会場は手拍子の嵐。ハプスブルク家の裏事情を皮肉たっぷりに歌うルキーニ。
この時の曲《キッチュ》は燃えますねえ。)

勝利に酔うエリザベート。トートに向かって勝利宣言する。
『踊りたい時は曲も相手も私が選ぶ。』共に睨み合う二人。
(《私が踊る時》 海外版と宝塚花組版ではすでに入っていましたが、東宝版では今回
初めて入りました。この曲によってシシィの気丈さが、より増したといいましょうか。)

―ひとりにしないで―

巨大な本が積まれた皇太子の子供部屋。
ルドルフはひとり寂しさに耐えている。優しげな声で話しかけるトート。
『私は君の友達だ。呼んでくれたならいつでも側にいる。必ずね。』
笑顔で見上げるルドルフ。
『僕は英雄になるんだ!昨日は猫をころして勇気をためしたんだよ!』
得意げに話すものの、ちょっとかわいそうだったと肩を落とす皇太子。
(山口トート。練習用の剣でルドルフの背中をつついている?ように見えました。)

『ママはどうして旅に出るの?僕も一緒に連れてって欲しいのに。
お城にいる時だけでも側にいたいのに。ママ、僕をひとりにしないで...。』
(光平君なかなかかわいらしい声。ここの歌は泣かせどころですね。
海外版でもそうですけど、やっぱり天使の歌声でなくっちゃ!笑。)

―魂の自由―

慰問の為、精神病院を訪れる皇后。鉄格子の中で生活する患者達。
そこで自分をエリザベート皇后だと思い込んでいる患者ヴィンディシュに出会う。
自分を否定され、持っていた傘で皇后に襲いかかるヴィンディシュ。

『本当に私があなたならば良かった。あなたが束縛されているのは身体だけ。
あなたの魂は自由なのだから。あなたの方が自由なのだから。』
(前回はいらない場面と思っていましたが、今回なぜかこのシーンがお気に入り。
ヴィンディシュの河合篤子さんの表情がすごく良いんです。後のシーンであっと思う
ことがありました。)

―仕掛けられた罠―

自由に振舞う皇后に苛立ち、政治の中枢からも段々遠ざけられ、ないがしろにされている
皇太后と重臣達。なんとか権力を取り戻し、皇后を追い落とそうと密談している。
『皇帝が皇后の美しさに惑わされているならば、もっと美しい女をあてがえば良い。』

マダム・ヴォルフの館。夜毎紳士達に快楽を与える社交場。
そして皇帝に届けられた一番の美しい花は、赤い毒花だった。
(今回のセットはいわゆる【飾り窓】のようでした。衣装もかつらも椅子を使った振り付けも
今回の方が色っぽくて好きですねえ。しかし、マダム・ヴォルフが今回シルビアさんでない
のがちとさびしい。どうせ変えるならまるっきり違ったタイプ、例えばもっと年配でどっしり
した感じの方とか面白いんじゃないかと思うのですが。)

―夫の裏切り―

エリザベートの体操室。崩れ落ちる皇后。
医者の診察で性病に感染していると告げられる。
それが意味するもの ― 【夫の裏切り】 ―  愕然とする皇后。
『あのひとがそんなことをするはずがない!もしも真実ならばここを出て行く、
いいえ。いっそのこと自分の命を絶ちます!』
トートの歓喜の声が響き渡る。医師の仮面から現われた死の王の顔。
(山口閣下。帽子を投げ捨てるのですが、奥には飛ばずセットに当たり真横に落ちました。
手元に戻らなくて本当に良かったですねっっ。笑。)

『まだ、あなたとは踊らない!』

―母との決別―

妻は旅に出たまま帰らない。悔やむ夫フランツ・ヨーゼフ。
『あなたの企みは成功です。母上。私の結婚生活は破綻しました。あなたのせいだ!
もうあなたの言葉に耳をかたむけることはない。それが私のせめてもの妻への償い。』
遂に母親に向かって決別の言葉を口にする息子。

取り残される老いた母の姿。
『義務を忘れた者は滅んでしまうのよ...。』去り行く息子の背中を見送る皇太后。

死の使いに支えられ、静かに息を引き取る皇太后ゾフィ。

―あなたのように―

夫の想いは妻には届かない。
宮廷に戻ることなく、傷心を抱えたままコルフ島で静養する皇后。
ある夜、そんな皇后の前に亡くなった父マックスの亡霊が訪れる。
『何故自ら孤独になろうとする?気の持ちようでいくらでも幸せになれるというのに。』
『努力したわ...。でももう遅すぎる。私はパパのようにはなれない...。』
(《パパみたいに》少女時代の夢一杯のシシィとは対称的です。
もうやりなおせない、このまま行き着くところまで行くだけと諦めきったシシィ。
そんな頑なな娘を死んでもなお心配する父親。村井ぱぱ優しいんですわあ。)

―父と息子の対立―

成長したルドルフ。今では父と息子の間の溝は深まるばかり。
ある朝息子は父に呼び止められる。『私を批判する新聞にお前は記事を書いたそうだな。』
『僕を監視するのはやめてください!あなたは時代が動いていることに気付かない。
民衆を、外の様子を、もっとよく見てください!!』

指し示す先には増加するドイツ民族主義者達の姿。皇帝への批判を口々に叫んでいる。
(浦井ルド。井上ルドと同様、父親への反発がとても感じられます。
パクルド。優しげなんですけど、なんていうかその、気の弱そうな感じと紙一重なんです。)

―闇が広がる―

広げられたナチの旗を引きずりおろすルドルフ。
人々に振り向いてもらおうとするが、誰も皇太子に関心を寄せるものはいない。
ひとり、またひとりとルドルフを残し、立ち去ってゆく。

『子供の頃のあの約束は君が望めば再びあらわれる。』ささやく死の王の声。
『友達を忘れたりはしない。僕は今、不安で壊れてしまいそうだ!
世界に闇が広がりつつあるというのに、僕が舵をとらねばならぬというのに、
僕は何もできない!何もかも縛り付けられて!』嘆くルドルフ。
『不幸の始まりを見ていて良いのか?未来の皇帝陛下。』皮肉気に尋ねるトート。
『我慢できない!』
『世界の終わりは近い。とめられるのはお前だけ。それとも見過ごすのか?』
言葉巧みに皇太子をそそのかすトート。ルドルフは遂にクーデターを決意する。
(ここなんですわあ〜っっ!!腕を掴まれ、後ずさるルドルフ!少しでも腰が引けたら、
ものすごく!ただのヘタレに見える〜っっ!前回の首振りの方が良かった〜っ!号泣!
しかもパクルドは語尾が消えちゃったり、山口閣下に負けちゃったり、コーラスの紛れ
ちゃったりするもんだからほんまにあかんたれにみえるんですよう〜。)

―発覚―

同志の元へ走るルドルフ。皇帝の説得に失敗したと打ち明ける。轟く銃声。
役人に踏み込まれ、クーデターは失敗する。誰何され、名乗る皇太子。
(私が井上君に一発ではまったのはこのセリフでした。『ハプスブルク。』
追い詰められても誇りを失わず、『逃げも隠れもしない。首謀者は私だ。』
と言わんばかりの毅然とした態度。『あ〜っ!ちくしょーっ!プリンスだよーっ!』
と感動したんですよねーっ。思わず私も『へへ〜っ』とひれ伏しそうになりましたわ。
なーのーに、パクさん、なんでそんなに声が小さいのーっ??心細げで自信なさ気で
それじゃ他人のいいなりにあっちへふらふら、こっちにふらふら流されっぱなしの皇太子
だわあ。強がりでもいいから、そそのかされてもいいから、自分の意志だというところを
見せて欲しかった!!パクさんはもっと軍人っぽいキリっとしたルドかと思ってました。)

―ルドルフの死―

父に蟄居を言い渡されるルドルフ。そしてようやく待ち望んだ母が帰ってくる。
『母だけは自分を理解してくれる。』それが最後の希望。

『いつも待ち続けてた、ママの帰りを。ずっと話がしたかったんだ、二人きりで。
この世界には僕の居る場所がない。ママは解ってくれるでしょう?
パパを説得出来るのはママだけだ。ハプスブルクを救えるのはもうママだけなんだ!』

『例えあなたの為だとしても、もう陛下には頼めない。絆は切れてしまったわ。』
冷ややかな母の声。

『ママは、僕を見捨てるんだね...。』それはかつて母が夫に向けて言った言葉。

絶望した息子は死の使い達に囚われ、トートの【死の接吻】を受ける。
握らされる銃。己に向け引き金を引くルドルフ。
(今回なぜか上着を脱がされているルドルフ。浦井君、踊る踊る!ああっ若いねえ!
【死の接吻】なんですが、山口閣下はあっさり。内野閣下はヒジョーに長い長い!笑。
浦井君、のけぞっちゃってものすごく不自由な体勢を延々。コケるんじゃないかと
ひやひやしましたよ。
前回は、音楽のピークで銃声一発。今回は音楽が切れた後、銃声までが長い長い。
なにかトラブルがあったんじゃと思うぐらい無音状態が続きました。う〜ん、やっぱり
前回の方が良かったかなあ。)

―悲しみの皇后―

ルドルフの葬儀。棺に取り縋る皇后。
現われたトートに手を差しのべ、己の死を懇願する。
『まだお前は私を愛してはいない!』冷たく言い放ち、手を払いのけるトート。
(前回は、なんで息子の命を奪った憎い相手に縋り付くのか疑問だったのですが、
今回の一路さんの解釈は納得しました。悲しむ以前に壊れちゃってるんですよね。
『ああ、ヴィンディシュとおんなじ顔してる。』と思って見ていました。)

―愛しているよ―

息子を失ってから、ただ年月だけが通り過ぎ、戻らぬ妻を追いかけて年老いた夫が
迎えに旅先を訪れる。

『戻っておいで。シシィ。せめて人生のゴールは君と寄り添いたいんだ。』
『奇跡はおこらなかった。二隻の船のようにただすれ違うだけ。行き着く先は別々なのよ。』

どれだけ優しい言葉をかけても、閉ざされたままの妻の心。
最後までお互いを理解できずにいた二人。
(一番好きなシーンです。綜馬さんと一路さんのデュエットがもう絶品でございます!
かつての溌剌とした美しい少女の面影は微塵もなく、心も病んで年老いた妻に、
それでも『愛してる。』と言えるフランツ・ヨーゼフ。なんてすごい人なんだろうかと。
切ないやら、気の毒やら。シシィも最後まで意地を張らず、ほんのちょっとだけ
夫に寄りかかれば楽だったのに....。)

―悪夢―

フランツ・ヨーゼフが見る悪夢。亡霊達が演じる最後のオペラ。
死と皇帝が共に叫ぶ。『エリザベートは私のものだ!』と。
死が招く。『さあ、ルキーニ!取りに来い!』そして暗殺者にヤスリが手渡される。

―1898年9月―
船着き場にたたずむ皇后。かけよる一人の男ルイジ・ルキーニ。
そして、エリザベートの長い戦いの時は今、終わりを告げる。

―私だけに―

横たわる皇后の魂が抜け出す。手を差しのべるトート。
『連れて行って...。』トートの【死の接吻】を受け入れるシシィ。
やがて、青ざめた顔のシシィの身体を死の王は棺に納める。
(前回は二人手を取り合ってにこやかに去ってゆくのですが、今回の方がなんだか納得。
【オレ様のコレクション】もしくは、【オレ様のお人形さん】って感じでしょうか。
そうやって、夜毎閣下は棺から取り出し、死者達の輪舞をながめて楽しんでいるのです。)

【パンフレットのこと】

ここのところなんだか舞台写真が良いと思いませんか?すごく表情の良い写真を
使ってはるなあと思うんですが。レイアウトもサイゴン、エリザと好きなんですけど。
(サイゴンは三種類買ってしまいましたっっ。全く東宝の思うつぼです。)

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