さらに詳しく!《エリザベート2004編》

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【ACT 1】
吊られた一人の男。 ―― ルイジ・ルキーニ ――

闇に響く声。    『一体、何故エリザベート皇后を殺したのだ...。』
『100年間も毎晩同じ質問!俺はとっくに死んだんだ!』毒づくルキーニ。
『黒幕は死の帝王。証人だっているぜ。』
墓から這い出してくるかつての時代を生きた死霊達。姿を現す死の王トート。
死霊は口々に皇后を語りだす。
やがて、ひとつの棺から取り出される青ざめた女。皇后エリザベート。

『さあ、始めよう。』
(『うがーっ。』って死霊達が返事するんですよう〜っっ。C級ホラーみたいでちょっと嫌。)

―パパみたいに―

エリザベートの父マックス。庭のベンチに腰かけ、シシィ(エリザベート)の家庭教師と
戯れている。(村井ぱぱのタラシっぷりは似合いすぎです!笑。)
父の猟銃を持ち出し、いたずらをするシシィ。銃声に驚き、慌てて離れる父親達。
『お昼には親戚が集まるわ。今日はおとなしくしなさいってママが言うの。
弟達とサーカスごっこがしたいのに。』
『おまえはお転婆すぎるぞ。』と小言を言いつつも、優しい目で娘を見るマックス。
しかし、父は親戚づきあいを嫌いさっさと逃げ出そうとしている。
『パパ、私も連れて行って!私はパパみたいに自由に生きたいの!』
(棺から取り出された人とは別人!はじけた一路さんです。)

親戚一同が集まる中、シシィの母ルドヴィカは、娘ヘレネとオーストリア皇帝フランツ・
ヨーゼフとの見合いを発表する。得意満面の母。
一方、やはりじっとはしていられないシシィ。木登りしてあやまって落ちてしまう。
(ここであの悪名高きLEDにて木登りシシィが映し出されるんですが、今時お笑いでしか
使わないようなちゃちい映像。周りの方も失笑してました。勘弁してください〜っっ。)

ー冥界とこの世の狭間にてー

生死の境をさまようシシィ。その姿をみつめる死の帝王。

『お前の命を奪うかわり、俺は生きたお前に愛されたい。返してやろうこの命を。
だがその時お前は俺を忘れ去るだろう。
俺はどこまでも追いかけてゆく。エリザベート、お前を...。』

(はい、死神のストーカーの誕生です。笑。しかし前回も思ったのですが、死の王との
恋物語という触れ込みの割にはこのシーンってあまりにもさらっと流されているような。
どの辺がお互い恋に落ちたんだ?と疑問の嵐。
恋愛モノにするならするでこのシーンってもっと大事に扱わなければならないのでは?
全幕観るとこの《エリザ》は、愛や恋よりも自分の存在意義をかけた戦いの話では
なかろうかと思えるんですよね。
《愛と死の輪舞》の曲はいっそなかったほうが私には話の流れがスムーズなんです。
ミョーにこの曲だけが熱烈な愛の歌で浮いてるんですもの。
単に私の好みなんですが。死の王がたかが人間ごときに普通の人間の男のように
恋に溺れて欲しくない。いえ、はまっていても表向きは見せて欲しくないと。笑。)

ーあなたが側にいればー

若き皇帝フランツ・ヨーゼフ。まるで生気のない人形のように母ゾフィーの言うがまま、
ただ黙々と毎日の政務をこなしている。

やがて母の決めた従妹ヘレネとの見合いのためバートイシュルへと向かう。
しかし、母達の思惑とは裏腹に息子が選んだ花嫁はその妹シシィだった。
(一路さん、お転婆ぶりを発揮!下着が見えるのもものともせずドレスの裾をわしづかみ
ちっともおとなしくしていません。でっかいケーキをぱくつき、落ちたイチゴを拾い上げて
給仕に止められています。)

『幸せになりましょう。ふたりで自由に生きるの!』ただ無邪気に喜ぶシシィ。
『皇帝にも皇后にも自由などないんだよ。』優しく諭すフランツ。
『どんな時でも、ふたりでいれば大丈夫だわ。』

― いつか私の目で見てくれたなら、分かり合える日が来るでしょう。 ―

(永遠に来ないその日。始まりからふたりの立場も想いもすれ違っていた。
ここでシシィやフランツが希望に満ちていればいるほど、後のこの曲が切ないのです。)

ー不幸の始まりー

不吉な響きをもはらませて婚礼の鐘が鳴り響く。
シシィの誓いの言葉を嘲笑うトートの声。
(ここでトイレットペーパーもどきの白い長い布が参列者達をぐるぐる巻きにしてるんです。
前回のトートの前に膝まづいて誓いの言葉をのべるふたりの方が不気味で良かった...。)

―再会―

婚礼の夜、シシィの目の前に姿を現すトート(死)。

―お前達の愛はただの見せ掛けに過ぎない。
          最後に踊る相手はこの俺。お前は俺のものだ。―

否定するシシィ。嘲笑うトート。
(たしかここだったと思うのですが、シシィが四つんばいになったトートダンサーズの
背に乗せられて運ばれてくるのです。なんじゃそりゃ〜っっ!と泣けてきました。
まるで亀の背に乗せられているように見えちゃったんです。いっそ、頭上にかかげて
持ち上げちゃえばよいのに〜っっ。あまりにもかっこ悪すぎる...。)

―諍い―

翌日、早朝から皇太后ゾフィーが現われ、生活態度から夫婦生活まであれこれと
詮索され、命令される。
あまりの言われようにシシィは夫に訴えるが、理解してもらえない。

     ― あなたは私を見殺しにするのね...。 ―

ようやく皇帝に嫁ぐことがどういうことなのか理解したシシィ。

―誰にも指図されない!命をささげるのはこの私にだけ!― 戦うことを決意する。

―娘の死―

政務に追われる夫。宮廷に取り残される妻。生まれた娘二人も皇太后に引き取られる。
『娘達を私に返してくださったら、どこへでもあなたについていきます。』
夫と取引し、ようやく子等を取り戻す。
しかし、長女ゾフィーは旅先のハンガリーで急死する。
トートダンサーズが小さな棺をシシィに差し出す。娘の亡骸を見て悲鳴をあげる皇后。
『娘の命をあなたは奪った。あなたを決して赦さない!』
その様子を楽しげにみつめるトート。(《闇が広がる》閣下オンリーバージョン。
ささやくように歌う山口閣下の声のなんと色っぽいこと!笑。)

―ママはどこ?―

その後誕生した皇太子ルドルフ。皇太后の元で毎日厳しく躾けられている。
ある日剣の稽古を抜け出し、母に会いに行こうとする。
皇太后にみつかり、『おばあさま!お願い!ママに会わせて!』と懇願するルドルフ。
(新しく加わったシーンです。お目付け役に『下がれ!』と命じる幼い皇太子。
気位が高くて、でもいじらしくて、光平君とってもかわいらしいんですわ。笑。)

ー最後通告ー

日々の政務に疲れ、妻と過ごしたいとシシィの部屋を訪れるフランツ。
しかし、部屋の扉は硬く閉ざされたまま。部屋の中から冷えた妻の声がする。
『あなたの話はお母様が聞いてくださる。』
とりつくしまもないシシィ。幼い子供に体罰を加えてまで行う皇太后の教育方針に
怒りを隠せない。夫は妻の怒りをまだ理解できずにいる。
『もういいわ!どちらか選んで!お母様か、私か!』
子供の養育についての書面を突きつけ、扉は再び閉じられる。
やりきれなさと絶望感に打ちのめされ、顔を覆うシシィ。
部屋にはいつの間にかトートの姿がある。優しい声で慰めるトート。
その腕に思わず縋り付こうとするシシィ。はっとしたように身を離す。

―逃げない!生きてさえいれば私は自由になれる!あなたには頼らない!―

―民衆の怒りー

ルキーニがミルクを売り歩いている。群がる民衆。
しかし全員にゆきわたるほどミルクはない。もう何日も買えずにいる者も多い。
なのに皇后は毎日ミルク風呂に入っているという。憤る民衆達。
(《ミルク》はやっぱり缶を使っての振り付けが好きです。宝塚版は使ってませんでした。
高島ルキーニ、盛り上げるのが上手い!気持ち良い!しかし何故でしょう?
今回のダンスはキレがないような気がするのは私だけでしょうか?
前回はもっとメリハリがあって格好良かったような...?はて?)

―私だけに―

皇帝が皇后の部屋を訪れる。妻の要望に対する返事を携えて。

―君を失う位なら、信念を曲げてもかまわない。君の願いはすべてかなえよう。―

姿を現す皇后。(かの有名な肖像画の白いドレス姿の一路さん。
トート閣下は階段の一番上。皇后は中段。皇帝は階下にたたずんでいます。)

―お前に命を許したが為に生きる意味をみつけてしまった。―  

自分の甘さに気付く死の王。

―あなたについてゆきましょう。
      ただこれだけは覚えていて。私の人生は私だけのもの。―

手にした扇でさっと顔を遮る皇后。

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