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星から船の位置を求める方法(3) -- 六分儀の使い方


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星を観測して船の位置を求める方法(その3)です。

まず、正確にわかっている位置として正午に太陽を利用して求めた位置を持ってきます。
そして、スターサイトを始める頃(正確にはまた補正します)の位置を求めます。
(これには、それまでの針路と距離から中分緯度航法で計算します。)
中分緯度航法の公式については、「太陽から船の位置を求める方法(その3)」を参照してください。

2/13 1200: 23-04S   168-38E   ←  2月13日正午の位置
2/13 1850: S20E(160゚) 98.0miles  ←  スターサイトまでの針路、距離

これらより、この時刻(2/13,1850)での推定位置を計算します。(準備の(4))

2/13 1200: 23-04.0S   168-38.0E
            1-32.1S       36.6E
--------------------------------
2/13 1850: 24-36.1S   169-14.6E  ← 推定位置
さて、ここから星を選んで高度の測定に入るのですが、今回は、カノープス、アケルナー、プロキオンの3つの星を測定することにします。ただし、これがそう簡単ではないのです。
さてまず、ここで少し六分儀の話しをします。

右上の写真をご覧ください。
下の円弧部分に目盛りがついていて、一番下の2本のはさみのような部分を閉じると一番上の反射板を中心にアームが動くようになっています。上の反射板の角度も変わります。

右中央は、下部の目盛り部分の拡大です。
円弧部分は1度刻みになっており、細かい(分単位の)部分はその左横のつまみで微調整を行います。

高度はどうやって測定するかというと、(右上の写真で)右側の単眼鏡から覗くと、左側の赤線が分岐しているところにある鏡が右下の写真のように、左半分がガラスで右半分が鏡になっており、左側からは水平線が、右側からは上の鏡にもう一回反射して円弧部分の角度にあるモノ(太陽や星)が見えるようになっています。(ただし、人間の目には右側、左側とは見えず、うまく右と左が重なったように見えます)

太陽や水平線がまぶしいときは、鏡のところにのサングラス(フィルター;右下の写真がわかりやすい)を入れて調整します。

そして、太陽や星と水平線を平行にした(水平線に太陽(星)を降ろすと私たちはいいます)ときの目盛りが、その時の高度になります。

このようにして測るのですが、まず夜は水平線が見えにくいこと。(月が出ていないとまず水平線は見えない。)
それから、目ではどの星を測定するかわかっていても、視野の狭い単眼鏡では目的の星がどれかわからないこと、などにより星の高度を測るのにはかなり時間がかかるのです。
このときも、ひとつの星を測定するのに3〜5分の時間がかかっています。
3つの星を測定し終わるまで約10分かかりました。
六分儀

目盛り部分

鏡部分

<つづく>

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