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太陽から船の位置を求める方法(7)


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太陽から船の位置を求める方法(最終回)です。

前回の計算メモの部分部分をそれぞれ解説します。

SAT  12-00-00       
LinT  9-14-08(-    
----------------    
GAT   2-45-52       
EofT   -12-43(-    
----------------    
GMT   2-58-35       
DfU  +8-54   (+    
----------------    
SMT  11-52-35       
まず、確定位置より下の左側です。
  ・ SAT(Ship's Apparent Time;地方視時)から経度時(Long in Time゚)を引き、
     (地方視時は本来はLocal Apparent TimeなのでLATですが(^^; それはまぁよいとして...
      とにかく南中時の地方視時は12時と相場は決まっています)
  ・ 均時差(天測暦にあるEsunを12時からひいたらこの値になる)を加減して、
  ・ 世界標準時(Greenwich Mean Time;GMT)を求め、
  ・ DfU(世界時と船内時との差;Difference of UTC)より、
  ・ 南中時刻(SMT)を求めます。(これはあらかじめこの時刻だと知っておくためです。)

この南中時刻が12時ちょうど(またはその前後)になっていないのは、8時すぎの時刻改正時に、このくらいの時刻になるようにDfUを定めたためです。
12時丁度だと、当直交替と重なるためわざと少し早めにしてあるのです。

d  18-29.2S
   30-29.3N(- ( *:SとNなので+になる )   
   -----------
   48-58.5
      ↓   ( 90度からひく )
   41-01.5
      -7.6 ( 高度改正 )
   --------
   40-53.9 ( ←計算上の南中高度)
次に、確定位置より下の段の右側です。
d は南中予定時刻の赤緯です。天測暦より抜き出します。
それに緯度を加え、
90度から引くと、
計算上の南中高度になります。
南中高度にもモーニングサイトと同様、高度改正(天測計算表による)をします。
ここまで計算しておいて、六分儀を持って南中高度を実測しに行きます。
天測実習をする練習船では、メリパスの5分前に「メリパス5分前」という放送がアナウンスされます。
いい場所を取るためには、ちょっと早めに太陽のよく見える位置に行く必要があります。
ここでちょっと補足をしておくと、高度補正の第一改正は眼高補正だったのを覚えているでしょうか。
つまり、補正する時には自分がメリパスをする位置の眼高を決めておく必要があります。
だから、船橋の脇のウイングで六分儀を構えようと思って計算していたのに、その場所がとれなかった時は計算高度が狂ってくるわけです。

   40-53.9 ( ←計算上の南中高度 )    
   40-54.9 ( ←測高度 )
   --------
差(I)  1.0 S'ly

  図3
そして、実際に六分儀で測った測定高度と比較します。
すると差(I)が1.0 S'ly となります。(S'ly は Southernly の意味です。)

この例では、計算値より測高度のほうが大きくなっていますね。
説明のため、左の図をご覧ください。
北半球では(この時は北半球にいることが明白)、太陽は南中することにななります。南にある太陽の高度を測るときは、太陽の高度が高い方が緯度が低い(南にいる)ことになります。
測高度が大きいということは、推定位置がBだと思っていたが、実際の位置はAだったと言うことになります。つまり、メリパス時の緯度は推定緯度より南にいることを表しているのです。(南半球の場合は逆になります。)
補正位置      30-29.3N        138-32.1E        Δl -1.19×(1.0)    
                  1.0S             1.2W             = 1.2W
             ----------      -----------
確定位置      30-28.3N        138-30.9E
ここで、補正位置から確定位置を求める所に戻ります。
測定高度との差(I)を推定緯度に加えると、この時の実際の緯度が求まります。
経度は、補正位置を求めた時の経度補正をΔlを使って行ないます。
(Δl×差(I)が経度補正値となります。)
これで、ようやく実際の位置が求まります。
こうやって求めた位置は、当時のNNSS(現在のGPSのような衛星を使った位置決定システム)と比較しても、かなり近い位置をだしていました。

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