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太陽から船の位置を求める方法(4)


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太陽から船の位置を求める方法(その4)です。

六分儀で太陽の高度を測る時、実際にはその当直の士官の笛による号令により、その時の読みを記憶します。
また同時に部員さんがクロノメータで、その時の時刻を記録しています。
ではまず、この時の計算メモをもとに説明します。

1/27  C.T.  00-16-05                    推定位置 lat   31-01.7N
      Esun  11-47-18(+   d  18-30.9S   ^^^^^^^^ Long 137-47.5E
      -----------------                    ↑
      hG   12-03-23          前回求めた奴です
               ↓
            180-50.8
      LinT  137-47.5(+
      -----------------
      h    318-38.3
ここで、
  C.T.は、クロノメータ・タイム。すなわち、六分儀で測定した時の時刻(世界時)
  Esunは、時角を計算するのにあらかじめ計算された値
  dは、赤緯の値
    (これら2つの値(Esun, d)は「天測暦」に記載されています。
     もちろん日付、時刻が変わると変化しますので、その時のC.T.の値のところを抜き出します。)
  hGは、グリニッジ時角で、(hG = C.T. + Esun)で求めます
  hは、地方時角で、( h = hG + LinT(経度時) )で求めます

さてここから、次の式にてAC(計算上の真高度)とZ(計算上の方位角)を求めます。
AC=ArcSin(sin(d)×sin(lat)+cos(d)×cos(lat)×cos(h))
Z=ArcCos((sin(d)×cos(lat)−cos(d)×sin(lat)×cos(h))/cos(AC))
私のメモでは、この時は「米村表」を使用して求めていますので、電卓で計算したものとは多少誤差があるかもしれませんが、この時の値を書いておきます。
(AC=26゚-29.9',Z=135.6゚=S44.4E)(**1)

さらに、ACは第1〜第5までの測高度改正を行ないます。
  ・ 第1改正は、眼高に対する改正
  ・ 第2改正は、気温に対する改正
  ・ 第3改正は、気圧に対する改正
  ・ 第4改正は、太陽の視半径の改正
  ・ 第5改正は、気温と水温との差に対する改正
で、すべて「天測計算表」に記載されています。
(この時は全てを計算すると-7.1(分)となりました。)

すると、ACは AC = 26-29.9 - 7.1' = 26゚-22.8' となります。
このACと六分儀での測高度(おぉっと書いてなかった..)「26゚-31.3'」と比較すると、その差(I)は +8.5' となります。
このZと差(I)が、メリパス時に重要になります。

(モーニングサイトはここまでです。)

<つづく>


(**1)
方位角の書き方は、北(N)から90度東(E)西(W)、南(S)から90度東(E)西(W)のように表します。
たとえば、300゚の場合は「N60E」となります。

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