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太陽から船の位置を求める方法(1)


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太陽の高度から船位を求める方法をお話します。

自分の位置を求める為には、正確に位置のわかっている2つ以上の物体が必要です。
従って、太陽1つだけでは正確な位置は求まりません。
1つの物体から自分の位置を求めるには、何か別の条件が必要になります。
図1
図1

まずは、左図をご覧ください。

☆印が船だとしましょう。
そして、A,Bが正確に位置のわかっている対象物(例えば灯台)とします。
船にはジャイロコンパス(**1)がありますので、自分からA,Bまでの正確な方位がわかります。
すると、左図のように地図(海図)上で自分の位置を求めることができます。

図2
図2
次に図2で話しをします。
今回は、☆印を灯台としてみましょう。
そして、船はA点にいることとします。
レーダーを使えば距離もわかるので、Aの位置がわかるのですが、方位はいくら素晴らしい測定器を使っても正確さは十分ではありません。(とはいえ、レーダー等の航海計器を使うことにより位置は推定することが出来ます。)

では、船がAからBまで移動したらどうでしょう。
船では、どちらの方向に、どれだけの距離を、進んだかがわかりますので、
  ・ Aから☆までの方位
  ・ Bから☆までの方位
  ・ A−B間の距離
  ・ Aから見たBの方位
の4つの要素により、Bの時点では位置が求まることになります。
(実際には、車で道路を走るのと違って、海には潮流がありますので、A−B間の距離、方位は正確と言う訳ではありません。)

太陽を使って自分の位置を求める時にも同じような方法を用います。

実際には正確にわかっている位置(Aにあたる場所;例えば毎正午に確定する正午位置など)をまず用意します。
そして、船の針路と進んだ距離からBの推定位置を求めます。
地球上の任意の位置からは、正確な時刻さえあれば、その時の太陽の方位、高度が計算でわかりますので、この推定位置との<差>がわかることになります。
この「推定位置に天測で求めた差」を加味することにより、推定位置をより確からしくすることができるのです。

<つづく>


(**1)
ジャイロコンパスとは、「ジャイロスコープ」の特性と、地球の回転運動(自転)と重力の作用を利用し、北(自転軸方向)を指し示す特性(指北性)を持たせて、連続的に北を示す方位測定器のことを言います。
ジャイロコンパスには、スペリー系ジャイロコンパスとアンシューツ系ジャイロコンパスの種類がありますが、詳細は以下のリンクを参照ください。

リンク :   ・ジャイロとは何か?((株)トキメックのホームページより)  
        ・ジャイロコンパスとオートパイロット(成山堂書店)  

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