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序章


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こういう企画が喜ばれるかどうかは...?...ですが、「帆船の話し・番外編」として、少しはアカデミック(?)な話しをしたいと思います。「言っていることがわからないよ」ってなことが多分に発生するかとは思いますが、そのような場合はどんどんと質問してください。
わかることについては、できるだけわかりやすく答えたいと思います。
わからないことについては、博学の皆さまに協力を求めたいと思いますので、フォローをよろしくお願いいたします。

さて、船の位置を知っておくと言うことは、見張りと共に船を運行する上で大変重要なことです。
沿岸航行の場合は、灯台など地上の海図にのっている目的物を交差方位法(クロスベアリング)という方法で求めるのですが、大洋を航行している時は、このような目的物がないため、太陽や星を観測(天測)して自船の位置を求めることにより航行することになります。

私たちが学んだものは三角関数(sinやcos)を使用した公式を使って求めるものです。
必要となるものは、太陽や星のデータを得るための「天測暦」と三角関数が使用できる関数電卓です。
関数電卓がない場合でも「天測計算表」に掲載されている「高度方位角計算表」別名「米村表」を使用することにより計算できます。(ただし、「米村表」による計算方法はほとんど使われることがないので説明はいたしません。)(**1)

天測計算表
天測計算表
「天測計算表」では「米村表」説明を次のように書いてあります。
この表は海軍中佐米村末喜の考案に基づいて、大正9年、当時の海軍大学校第19期航海学生によって編集された表を、改訂増補したものである。船舶位置決定に際し推定位置に対する位置の線を求めるために、天体の高度および方位角を同時に算出するのに用いる。なおこの表を用いて計算するためには、高度の精密な観測値と観測時における正確な世界時および船舶の推定位置(経緯度)がわかっていなければならない。
この後の連載でも同じことを何度も書くかもしれませんが、天測による位置決定の前提は「推定位置がわかっている」と言うことです。
最初に断っておきますが....大航海時代などの航海術などについて質問されても私はまったく知りませんので(^^;、ご勘弁して下さいね。コロンブスはどうしていたとか、マゼランはこうだったとか、そういったことを説明していただくと私のほうがありがたいです。

また、例として実際に経験したものを使用しますが、帆船のものを用いるとやっかいなこと(別途説明します)もありますので、機船実習の時のものを使用することをご了承ください。


(**1)
機船の長期実習では、「天測計算表」に記載されている米村表、三角関数の表(sin Xはいくつかなど)、三角関数の対数表(log( sin X)はいくつかなど)、真数の対数表(log Nはいくつかなど)などを用いることにより、すべて計算は加減算になるため電卓は使用しませんでした。
帆船での実習では、(上記は実習済みと言うことで)電卓を使用しました。

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