トップ >> 練習船実習・回顧録 >> 機船の話し・長期実習編 >> ポンペイ〜オークランド(4) -- 本物の南十字星


ポンペイ〜オークランド(4) -- 本物の南十字星


<< prev next >>

1989年2月14日。
前日の朝の素晴らしい虹に負けないほどの星空が広がりました。
私たち航海科実習生は機関室実習に入っていたため、南半球に入って初めての星空です。

いくら低緯度でも北を中心にまわっているあいだは、星空は日本と同じです。
しかし、南に入ると星空ってがらっと変わるんですね。
しばらく星空を見ていなかったこともあってか、一瞬戸惑いました。
オリオンもまっさかさま、双子も獅子もまっさかさま。

オリオンからたどって、シリウス、カノープス、南十字、α、βケンタウロス。
大きく広がる天の川もすばらしい。
大小のマゼラン雲はこの時は見つけられなかったけど、木星と火星がこれら沢山の一等星に混ざって瞬きもせず輝いている。
船に乗っているあいだ、何度も心に残る星空を見てきましたが、この時の星空も3指に入るほどのものでした。
北半球では見事に「にせ十字」に騙されましたが、ここまでくると美しい「南十字」におされて、逆に「にせ十字」を見つけることが困難になりました。

ニュージーランドまであと2日。
レーダーではもう北島を捕らえていました。
船の中の時計はほぼ地方視時で進んでいますが、今ニュージーランドは夏時間なので、これに合わせるために2日間で1時間54分の時刻改正が行われます。

また、入国準備も少しづつ始まりました。
ニュージーランドは農業検疫が厳しい国です。
肉、乳製品は国内持ち込み禁止。
スポーツ用品についている土、泥は厳重に検査され、植物(観葉植物)などもチェックされます。

これらのおかげで、船に持ち込んでいたチーズやカルピス(なんと乳製品!)がシールされてしまいました。
シールというのは入港中は、ひとつの部屋にそれらの国内持ち込み品を閉じこめて、鍵をかけ、封をするのです。

とにかく、オークランドは美しい町だと聞いているので、みんな(特に私は)大変期待していました。

<< prev next >>

戻る