トップ >> 練習船実習・回顧録 >> 機船の話し・長期実習編 >> ポンペイ〜オークランド(2) -- HARRY来襲


ポンペイ〜オークランド(2) -- HARRY来襲


<< prev next >>

星雲丸はポンペイからほとんどまっすぐ南に進み、南半球に入ってからニューカレドニア島の西側を通りながらニュージーランドに向かう針路をとっています。

このニューカレドニア島のあたりで、私たちはサイクロンの襲撃を受けました。
この時はHARRYという名のサイクロンの情報しかなかったのですが、後日わかったことには別にIvyちゃんとKillyちゃんという2つのサイクロンもいて、生まれたてと言うこともあって迷走していたようです。

これらの影響により青雲丸の針路はころころと変わることになりました。
はじめはニューカレドニア島の西側を通る針路をとっていましたが、HARRY君を避けるため島の東側を通過するような針路に変え、島の半分くらいのところまで行った時に、波の状態がおかしいので(実際には他のサイクロンがいたため)船は反転、島の北側まで戻り、ほぼ真西に向かって針路をとりました。

サイクロンを避けるために西へ西へ針路をとったため、このままではオーストラリアへ行ってしまうぞ!ってことになり、またもや青雲丸は反転、結局島の東側を南下することになりました。
このあいだに、かなり時間をロスしたのですが、ポンペイでイタリア船に追い出されたことが幸いして(?)、多少余裕があったようです。

星雲丸の航路
星雲丸の航路(赤線:正確ではありませんが..)
この最中、私たちの機関室実習も終わりに近づいた時、ひとつの事件が起こりました。
機関室には、本来機関室と呼ばれるメインエンジンのおいてあるところと、発電機や冷凍装置をおいてある発電機室、プロペラシャフトのある部屋、それからそれらの装置を遠隔制御できるコントロールルームがあります。

通常の機関士はコントロールルームで機械の状態を監視し、何かあれば機関室に行きます。
私たちは実習なので直接機械のそばの計器で状態をチェックします。
機関室は結構うるさいし暑いので、4時間の当直の間に少しの休みをもらうこともあります。
事件はその休み中でした。(私たちの直前の当直班のことです)

あまりにも船が傾いたため、ボイラ(生活用の蒸気を作るためのもの)の安全装置が働きトリップしてしまいました。
結果的には実習生が(休憩中で)いなくて助かったと乗組員には言われましたが、結構大変な事件だったようです。
しかし、時刻が22時23分と夜だったのであまり実害はなく済みました。
昼間であれば、食事などに影響が出ていたことでしょう。

<< prev next >>

戻る