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エンジンの話(2) -- ホセイドンアドベンチャー


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エンジンの話しを最後にもうひとつ。
皆さんは「ポセイドンアドベンチャー」という映画を御存じでしょうか。
一部の乗客がひっくり返った豪華客船から、救出されるというお話しです。(なんと、簡単に言ってしまうのだろう(^_^;)

最初にひとつだけ言っておきます。船の中で一番安全な所は発電機室です。
電気がなければメインエンジンも動かないし、航海に必要な計器も動作しないため、通常発電機室は沈没しても海水が侵入しないようになっています。
しかし、ポセイドンアドベンチャーのように船の底の鉄板を切り取ってもらってでも助け出されようとしたら・・・そのためには、どこへ行けばいいか。

船はタンカーを除き、タイタニック号の事故を受け、その後に建造される船はすべて2重底になっています。
(タンカーは、通常水より比重の小さい油を積むため、船底に穴があいても(タンクを満載にしていれば)海水が入ってこないため、2重底の例外とされていました。しかし、タンカーも最近では2重底を採用しているようです。)
そのため、いくら船の一番底のエンジンルームに行っても、あの映画のように外から助け出されることはありません。
では、本当にどこへ行けばいいのか。

実は、船にはただ一ヶ所、2重底になっていない所があるのです。
そこは、船の一番下で、エンジンルームであることに違いはないのですが、エンジンルームの一番奥(船尾側)にあって、エンジンからプロペラにつながるシャフトが通っている「シャフトトランク」と言う部分です。(「日本丸<機関部関連>のシャフトトランクの写真」参照)

ここは、さすがに船の外に出なければならないので、1重底になっています。
あの映画の主人公は助けてもらうために、ここを目指していたのです。

では次回からは、機船の長期実習の話しをすることにしましょう。

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