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短期実習(3) -- 船の位置の求め方(沿岸航法)


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船を動かす上で一番重要なことのひとつに、自船の位置を知ることがあると言いました。

短期実習では、基本的に船は沿岸を航行します。
この沿岸航海時の、船の位置の求め方のひとつにクロスベアリング(日本語では「交叉方位法」)があります。
これは地文航法の一種で、小型船舶の2級以上(20トン以下の船舶)の免許でも試されるものです。

船には海図がありますが、海図には陸上の著名な建物(灯台も含む)が記載されているので、陸上の少なくとも3つ(2つでは正確さが少ないと言われています)の目標物の自船からの方位を知ることができれば、自船の位置が求めることができます。

どのようにするかというと、船橋のウイング(見張りをするための横に張りだしている所)にあるジャイロコンパスで目標物(ほとんどの場合が灯台です)の方位を測り、海図上ではその目標物から測った方位に半直線を引きます。(これを位置の線といいます)
これを3回繰りかえすと、3つの位置の線が交差します。ぴったりと重ならなくても、小さな3角形のようになります。
そこがその船の現在位置となります。

だた、船は動いているので、悠長にやっていると大きな3角形になってしまいます。
したがって、通常は目標物を海図で十分調べておいて、一度に3つの方位を測り、それを覚えて海図のあるチャートルームで自船の位置を求めます。
最初は目標物が海図上ではどれにあたるのかが、なかなかわからなかったりするのですが、なれれば1分程度でできるようになります。

短期実習では、この自船の位置を求める、クロスベアリングの練習を延々と行ないます。
これに対して、長期実習では外洋を航海することもあるので、その時には六分儀を使って太陽や星を観測して自船の位置を求めることになります。(これを天文航法といいます)
その話しは、またすることにします。

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