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シアトル〜ホノルル(2) -- 夜明けのコーヒー


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操練につづいては運動会がありました。実際には運動日課といいます。
この日は、当直の人間を除いて乗組員も実習生も、全員で運動会を楽しみます。

この頃になると、士官だけでなく部員さんとも親しくなり、実習にも遊びごころがでてきます。
シアトルまでは本当に実習一筋でしたが、元々4年間教育を受けてきているので、ある程度の知識は持っているのです。
ただ、帆船というのがみんな初めてだっただけなのです。

それが、最後の実習航海の、それも帰りの航海ともなると、多少のわがままも認められるようになりました。 操練にカメラを携帯してもいいなどは、今までの実習では考えられないことですし、その他では例えば朝の4−8の当直では夜明けのコーヒーを飲みたいといえば、一等航海士はOKを出してくれましたし、休みの時間にマストにカメラを持ってあがってもOKということにもなりました。

しかし、運動会の次の日は悲しい日となりました。
日本丸には18枚の横帆と18枚の縦帆がありますが、この縦帆を取り外すことになりました。(アンベンディングといいます)
航程図
シアトル−ホノルルの航程図

もともと私たちが3月にこの船に乗り込んだ時は、セールもセールを操作するロープ類もぜんぜんついていなくって、自分たちで取り付けたのですが、一航海が終わるとまたドックに入ることになるので、全て取り外すことになっているのです。
航海の日程上、ホノルル到着前に縦帆のみ取り外すことになりました。

これは2日がかりです。
18枚のセールとそれを操作するロープを取り外すのに半日、そしてセールを甲板にひろげて洗剤で洗うのに半日。
そして、次の日には、また取り外したセールを元どおりに取り付けて乾かし、乾いたあとできれいにたたんでセールロッカー(船の一番底にある)にしまいます。

これであとはホノルルにつくのみなのですが、どうやら日程が遅れており時間を取り戻すために機走に移りました。
シアトル出港後の帆走では平均で5ノットくらいだったのです。
機走になると時刻改正も大きくなり、時刻改正を行なう朝の8−12の当直はジゴク改正と呼ばれるようになりました。
西に向かっているのでシアトルまでの航海と違って、今度は4時間の当直が4時間10〜30分と伸びることになるのです。

それでも行事が多かったこともあり、シアトル〜ホノルルの航海はすごく短く感じました。

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