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シアトル〜ホノルル(1) -- 救命艇で船外脱出! |
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シアトルからホノルルまでの約2週間の航海が始まりました。 どうも雰囲気がもう帰りの航海という感じになってしまい、風がなくて機走になることがあってもあまり悲しくならない航海でした。 事件はシアトルをでてすぐに起こりました。 神戸出港と同様、シアトル出港後も2日程度機走した後、帆走、が風がなく、1日でセールをダウン。 このころのことでした。 オリンピアで実は発電機で使用するA重油を採油しているのですが、このA重油の質が悪く、エンジン部の燃料噴射バルブが詰まってしまったのでした。 (ちなみにメインエンジンはC重油を使用しています。) C重油は常温であまり流動的な物体ではないのと、まじりっけの多い重油の為タンクでろ過し、さらに清浄器を通してから使用するのですが、A重油は結構質のいい重油の為、タンクからそのままの状態で発電機に供給するのです。 この時はC重油の清浄器を通して使用する、などのことをして切り抜けました。 機関部が慌ただしくしている間に、甲板部ではまた帆走を再開しました。 さて、シアトル〜ホノルル間では期間は短いながらも、行事が目白押し。 一番たのしみなのは、総端艇操練といって緊急時に救命艇で船を逃げ出す訓練です。 これを半舷ずつでおこないます。 このときだけ、私たちは自分たちの乗っている船を、外から見ることができるのです。 しかし、これが大変なことでした。 帆走中を想定して行うので、半舷の人数で帆走中の船を止めなければならないのです。 どうするかというと、船を風上に向け、と簡単にいいますが、船を風上にむけるためには、一回転に1度しか動かない操舵輪を何回転もまわしながら、他の人間は風の向きにあわせてセールの角度を変えるために、18枚の横帆を操作しなければなりません。 その間に、救命艇で降りる人の方は、その為の準備をし、船が止まった時点で降下します。 この時はカメラの携帯を許可されました。 今までの実習では考えられないことですが、カメラを携帯したからこそ私たちは、帆走している帆船の写真を太平洋の真っ只中で撮ることができたのです。 残った人間は救命艇で降りた人間が写真をとれるように、またセールの向きを変え船を進めてくれていたのです。 しかし、太平洋の真ん中は大きな船の上からみれば穏やかでも、救命艇のような小さな船にのって本船からちょっとでもはなれると、波に隠れて高さ50mのマストのてっぺんも隠れてしまうのです。 さらに、こちらは手漕ぎなので、帆船が帆走し始めるとどんどん離れて行き、あそこまで帰りつくことができるのかどうかと、とても不安になりました。 この訓練に約4時間。結構大変でしたが、やはり楽しいものでした。 そして次の日、役割を交代して同じ訓練が行われました。 ハワイまでの約半分の地点での出来事でした。 |
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