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神戸〜シアトル(11) --
ジュアンデフカ海峡〜Port Angels〜Olympia



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陸が近づいて来ました。
できればアメリカ西海岸の地図でも開いてこの話しを読んで下さい。

ジュアンデフカ海峡を通過する船舶は、まず西経127度を通過する時にTOFFINO TRAFFICあてに通報しなければなりません。
このとき、すでに向こうのレーダは日本丸を捕らえているとの連絡あり、みんなを驚かせました。
こちらはバンクーバー島をレーダの端に捕らえたばかりでした。
(実はレーダーのマグネトロンの調子があまりよくなかったのですが、それにしても凄い性能です)

TOFFINO TRAFFICはカナダの管制塔で、私たちはカナダ側(北側)からこの海峡に近づいたため、カナダの管制塔に連絡をしているのです。
次に西経126度でまた連絡。(これも126度通過時に連絡を入れることになっている)
次は『海峡入口にある「J」ブイ通過時(西経124度40分)』に連絡を入れるようにとの指示を受けました。
「J」ブイを通過すると海峡の南側を航行することとなり、アメリカ領に入ります。
ここでTOFFINO TRAFFICの管轄は終わり、日本丸はアメリカ側のSEATTLE TRAFFICと連絡をとることになります。

そして、ポート・エンジェルスにて錨泊(イカリで港外に停泊すること)の予定時刻などを連絡します。
この間約2日。バンクーバー島とアメリカ大陸に挟まれたこのジュアンデフカ海峡は瀬戸内海を(かなり)おっきくした感じですが、周りの山々(特にアメリカ側のオリンピック山脈)が大変美しいフィヨルドで、連絡づくめのわりにはゆったりとした気分になりました。

なぜ、ポート・エンジェルスにて錨泊するかというと、ひとつは入国審査を受けるため。
そして、これからシアトルを通り越してワシントン州の州都オリンピアまで行くので(州知事他VIPに招待されているらしい)、さらに狭いピュージェット・サウンドを航行するために水先人(Pilot)を乗せるためです。

ピュージェット・サウンドは、さらに景色の美しいところでした。
昔、強風でつり橋が落ちた(**)ことで有名なタコマ橋(Tacoma Narrows Bridge)の真下を通過する時には、サービスでセールをあげました。
ここは幅が1キロもないところなので結構恐い思いをしました。

このあと、オリンピアに近づくにつれ幅はさらに狭くなり、オリンピアに到着した時にはなんと200メートル。日本丸は100メートル以上あるので、ほとんどふさぐような感じになってしまいました。
こんな奥地まで大型帆船が入って来たのは何十年ぶりのようで、ヨットやカヌーが沢山見物にきました。

ヨットが好きな人は、レーザー級というディンギー(二人乗り用のヨット)をご存じかと思います。
レーザーのセールには、シリアルナンバーが書かれています。
Tacoma Narrows Bridge
Tacoma Narrows Bridge

オリンピアにて停泊
オリンピアにて停泊
(中央がCapt.、左はC/O, 右は1/O)
この番号は全世界で順番に採番されているのですが、見物にきたレーザーのセールには、3桁の番号がありました。
日本では5桁や6桁をよく見かけるので、やはりアメリカだなぁと思いました。


(**)
みなさんも見たことがあるかもしれませんが、以下のリンクにあるような映像(MPEGファイル)です。
この崩壊した橋のあった場所に作り直されたのが現在の橋です。

リンク :   ・揺れるタコマ橋(映像)  
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