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神戸〜シアトル(6) -- おやっ!オットセイ


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日付変更線通過直前におもしろい事件が起こりました。
航海中は3交代で当直にあたるのですが、暇な時間というのも結構あって、その時には色々なことをしています。
漁労班、写真班などのグループ活動や、シアトルでの日系人会のパーティーでの出しのもの練習などもしています。

その漁労班が用意してくれた道具を、当直班の役にあたっていない実習生も利用したりしていました。
船にスピードがないときには、何か引っ掛かるかもしれないと思い、仕掛けを何本か船尾から流していたところ、
オットセイの子供がそれに引っ掛かってしまいました。親がまわりをぐるぐると心配そうに泳いでいました。
この時、船のスピードは1.5ノット。

日付変更線の近くに来てから少しもたついていて、船内にあまり活気がなかった頃なので、当直の二等航海士が船内放送でこの事を流したのです。それでキャプテンにまで、このことが知れわたることになりました。
とにかく引き上げて海へ帰してあげようとしていたところ、うまく針からはずれ親子仲良く海にかえっていきました。
しかし、かわいい動物を引っ掛けたバツということで、私たちの当直班は予定になかったロイヤルの畳帆をキャプテンからおおせつかいました。

そして、その翌日7月9日11時05分48秒、北緯43度53分の位置で日本丸は日付変更線を通過しました。(**)
コンディションは天候が霧、気圧1021mb、気温11℃。
風向南、風速5(17ノット)、船のスピードは11ノットでした。

日付変更線通過
日付変更線通過
この航海のために特別に乗船しているドクターが記念に汽笛を鳴らして、みんなでこの瞬間を祝いました。
私の手元には、真冬の釣人のような重装備をした実習生や乗組員が、霧でほとんど視界の無い海を背景にした写真があります。ほかの人が見れば、何故このような格好で、美しい景色でもないのに、みんなで集まっているのかわからない写真ですが、この海が私の日付変更線なのです。


(**)
日付変更線。この存在は、マゼランの世界一周の航海のときに発覚したそうです。

リンク :   ・国際日付変更線(ウィキペディアより)  
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