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神戸〜シアトル(5) -- このままではアリューシャン?!


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日付は少し戻りますが、神戸出港一週間後(6/27)にこの航海で初めての星空が拝めました。
帆船での夜空の観望はあまりよくありません。
上を向くとマストやヤードにセールがいっぱい。
どうもこれだけは、帆船でない方がいいと思います。

ただし、太平洋のど真中での星空は最高です。
船の夜間航行においては、法律で決められた法定灯火以外は漏らしてはいけないことになっています。(**)
したがって、夜空の光以外はまったくの無光害状態です。

この日はさらに大量の夜光虫の群れも見ることができました。
始めは遠くの方に光の影を描いていたものが、だんだんと近づいて来て、偶然にもその真上を通ることができました。

今まで夜光虫は何度も見たことはありましたが、こんなにも沢山の夜光虫は本当に初めてでした。
それが船のたてる波に刺激されて、さらに美しくきらきらと輝き、頭上にある天の川も色あせてしまうようでした。

甲板から空を見た様子
甲板から空を見た様子
さて、日付変更線通過前の船の様子を私の日記から紹介します。
(カッコ内は後で付け加えたものです)
6/29 :  時刻改正、昨日、今日ともに+9分。
このままではアリューシャンにいってしまう。

6/30 :  NorthへいったりSouthへいったりなので時刻改正は+3分。
今も針路は170度。

7/2 :  昨日の時刻改正はなし。Southに向かっているので緯度も40度をきるところ。
10℃以下まで下った気温が12℃くらいまで回復、少しましになった。
風も北へまわりようやく東へ針路を向けられるようになったけれども、
やはりもう二、三日中には機走に移るんではないか、という気がする。
なんせまだ緯度は156°Eなんだから。

7/3 :  (時刻改正)昨日は+9分、今日は+18分。
風が北から西の方にまでまわって(船は)東へ進んでいるが、この風を
もってきてくれた低気圧に抜かれたのでもうこれまでかナって気がする。

7/5 :  (時刻改正)昨日は+12分、今日は+18分。
ここ3日間の平均スピードは7〜10ノット。
このままだと180°子午線まで帆走でいけるかもしれない。

7/7 :  七夕。
2日連続七夕という夢はみごとに破れ去った。低気圧に抜かれて風が無い。
前直が2(マイル)、うちが7(マイル)、8時間で9マイル。
これはまずい。今だいたい経度が175°E、(子午線まで)あと2日くらいかナ。
時刻改正は、昨日、今日とも+9分づつ。
とまあ、風が吹いたり、やんだり、北に行ったり、南に行ったり、と不安定なのが夏の北太平洋のようです。
このころは、やはり風の力だけではムリなのかと思っていました。
とにかく日付変更線までは帆走で、という気持ちではいました。


(**)
「海上衝突予防法」(第20条)で定められています。
その他、船舶に関して重要な法律には「船舶安全法」「港則法」などがあります。

リンク :   ・法庫  
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