トップ >> 練習船実習・回顧録 >> 帆船の話し・海外編 >> 神戸〜シアトル(4) -- 美空ひばりさんが亡くなった?!


神戸〜シアトル(4) -- 美空ひばりさんが亡くなった?!


<< prev next >>

八丈島あたりで帆走し始めてから、なかなかいい風を捕まえられなくて日本丸はどんどん北の方へ向かって走っていました。そしてこのころ、美空ひばりさんが亡くなったという噂が船内に流れるようになりました。

船内での情報源といえば、共同通信社から毎日送られてくるFAXのみのはず。
しかし、このA2版程度の大きさの紙面の中に政治、経済、スポーツすべてのジャンルをカバーしているため、小さな記事は見つけるのが困難なのです。
(美空ひばりさんといえども)芸能ニュースは大変小さく、私がそのニュースを発見したのは、2日後のことでした。

日付はもう7月になろうとしています。経度は東経150度を通過しました。
実習ばかりではつまらないので、このあたりで日付変更線通過時刻当てトトカルチョをすることになりました。
(日時分まで当てなければならない。またトトカルチョといっても何か賞品があるわけではありませんし、金銭の授受も当然ありませんよ)

ここまで風のせいもあり、うまい具合に進めませんでしたが、この頃からいい風を捕まえられるようになってきました。
このままいくと、7月7日前後になる予定になります。
七夕が2日続くというロマンチックなことがおこらないかなぁということもあり、7月7日7時7分という予想もたくさんありました。

夏の帆走は風が一定しないこともあり、帆走だけで日付変更線を越えることはあまりないのです。事実、私たちより1日早く横浜を出港した海王丸は、このままでは予定どおりに次の港につけないと判断したのか、出港後1週間で機走に切り替えていました。
(運輸省の練習船は日本時間の毎20時に、自船の位置とコンディションを互いに無線で連絡しあっているので、そういうことはすぐにわかってしまうのです。)

私たちは、どうしても日付変更線くらいは帆走で越したいと思い、乗組員、実習生とも頑張ってセールを調整し、気圧配置図とにらめっこしていました。

ちなみに6月30日正午のデータは次のようなものです。
(この日が日付変更線手前では一番北にいった位置です。)
位置  : 北緯43度17分、 東経155度11分
風向風速: 東の風(これでは東にいけない(^^;) 風力5
天候気圧: くもり、 1016.6ミリバール(当時の単位(^^;;)
温度  : 気温10.1度、 海水温度10.5度

マスト・ヤード等の名称
この頃までの航程
<< prev next >>

戻る