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神戸〜シアトル(3) -- 1日に5度で20分


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飛行機での海外旅行のときには、到着したところで現地の時刻に時計を合わせますが、船の場合は毎日毎日少しずつ時刻が変わります。東へ向かう場合、1日は23時間台になり、西へ向かう時は24時間○○分となります。

朝8〜12時の当直は、太陽を観測(モーニングサイト)してその日の正午の船の位置を推定し、正午に太陽が南中するように船の時刻を改正します。帆船はそんなにスピードが出ないため、この時刻改正時間は5〜15分くらいでした。

20分としたら、1日に経度で5度進むことになります。
これがどれくらいの速度かというと、緯度35度を真東に向かっているとすると、
((5度×60(分換算))×cos(35度))÷24(時間)=約10ノット(約19km/h)(**)
となります。

日本丸の航行性能は、航海計画をする時には帆走時5〜6ノット、機走(エンジンを使って走ること)時12〜13ノットで計算します。
1989年の神戸−シアトル間での実績は、帆走時約7ノット(4116マイル)、機走時約12ノット(1227マイル)でした。

ただし、帆走時は平均してこのような速度が出ていたことはありません。
MAXでは約15ノットを出したこともありますが、4時間経っても数マイルしか進まなかったこともあります。


(**)
1ノットは、1時間に1マイル(1.852km)走る速度。1マイルは、赤道上の経度1分の距離。
1マイル(海里)は陸上で使われるマイル(1.604km)とは異なるので注意)
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