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神戸〜シアトル(2) -- 寒い夏 |
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帆船の航海は、温帯低気圧の寒冷前線と温暖前線の間を、等圧線にほぼ平行に安定して吹く風(地衡風)を捕まえるように、セールの向きを変えたり、針路を変えたりしながら走ります。 したがって、この間の天候はくもりや雨の日ばかりです。 雨やくもりが多いということは、太陽や星が見えないことが多いということになり、天文航法で自船の位置を求めている帆船では、正確な船の位置が出ないことにもなります。 こういう時にはNNSS(GPSの一世代前の衛星を使った位置決定システム;当時の主流だった(**))を利用すればいいのですが、そうはせずに船の針路と航行距離(車の距離メータのようなもの;ログといいます)から推定位置を求めます。 そのため太陽が出た時に、はっきりとした位置を求めたときにはすっごくズレていたりもします。(ま、実際にはNNSSのデータも見ているので、ズレていることは知っているのですが。) |
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とにかく、夏の太平洋といえども低気圧近くは真昼の気温が11〜13度くらいにしかならず、大変寒い航海がつづきます。 実習生は、当直中はすぐに作業服になれるような格好でいなければなりません。いくら寒いからといって、作業服の上にセーターなどを着るとダメなのです。 しかし、作業服の下にならいくら着込んでも何も言われません。 作業服の上に着ていいのはすぐに脱ぐことのできる、私たちが「ドカジャン」と呼ぶ作業用のジャンバーのみです。 それもマストに登るとなれば必ず脱がないといけません。そして足は常に裸足です。 これで実習生がいかに寒がっていたかがわかるでしょうか? |
![]() (遠くに着込んでいる実習生の姿が見えます) |
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