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徳島(2) -- 「宇宙戦艦ヤマト」で出港


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徳島では船内の一般公開がありました。
大阪では出身地なので知っている人がたくさん来たけれど、そのほかの港では大抵知っている人が来ることはありません。ここでもその筈でした。
しかし、前回書いたような理由で、たくさんの知り合いが一般公開を利用して、船に訪ねてきました。
船に知り合いが訪ねてくるのは、少し鼻が高くって、でもちょっぴり照れるものです。
徳島はあまり期待していなかっただけに、いい思い出となりました。

徳島の出港もなかなかのものでした。
出港時、通常どこの港でも音楽隊などがやってきて、帆船の出港に花を添えてくれます。
だいたいが「錨を上げて」などのマーチがメインです。
神戸では「練習船の歌」を演奏してくれます。
徳島の音楽隊は素人目にもあまりうまくはありませんでしたが、演奏曲の中に「宇宙戦艦ヤマト」がありました。
帆船の出港に「宇宙戦艦ヤマト」ですよ!
「ヤマト」世代の私たちはゾクゾクしました。

登檣礼も大阪港と同じくらいうまく行き、徳島をあとにしました。
ほかの実習生の知り合いのクルーザーと、私の友人の巡視艇が最後まで日本丸に伴走してくれました。
クルーザーは慣例で「さようなら」を意味する、超長音3声をヨット用の携帯ホーンで鳴らし、登舷礼をして去っていきました。
日本丸もこの小さな歓送者に、同じ行為でもって敬意を表しました。
私の友人の巡視艇は、少し離れたところを静かに伴走していただけで、港の境界線を越えたくらいのところで静かに小松島方面に転進して行きました。

巡視艇のブリッジの脇で敬礼していた人が見えました。
確認は出来ませんでしたが、多分彼なのだろうと今でも私は思っています。

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