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徳島(1) -- あらまぁ、大先輩


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K商船大学の寮は基本的には全寮制です。
そして、部屋は4人部屋の基本的には縦割り(各学年1人づつ)です。
出来たての頃は1年毎に部屋替えがあったそうなのですが、私の入る18年前から部屋替えはなくなったのです。
そのため、私が寮に入ったときには部屋の先輩リストがありました。
新入生は、前年度の卒業生の勤務先と、自分を付け加えて新たなリストを作成するのです。

徳島には5月18日の午前に入港しました。
夕方から散歩上陸と言うことで当直班以外は、5時間の上陸が許されました。
高校時代の友人が、小松島の海上保安庁に巡視艇の乗組員として勤めていたので、彼と連絡を取り徳島を案内してもらう手筈で、私は夕方5時きっかりに船をあとにしました。

船から200m程離れたところで、私は同じ上陸組の友人に呼び止められました。
船に私を訪ねてきた人がいると言うのです!
この頃の私にはこの海上保安庁の友人以外に、徳島にも四国にも友人はいません。
通常、船にきた面会人の呼び出しは、「航海科 XX実習生に面会です」といった放送が船内に流れるのですが、このときは「K商船大学 X寮109号室出身の実習生いましたら面会です」という放送だったようです。

びっくりして船に戻ると、私を訪ねてきた人は私の部屋の先輩リストの上から2番目に書かれている大先輩でした。
全然面識がなくても、この日本丸という船がこうやって色々な縁を結び付けてくれるのです。
なんとたいした船だと、改めて感心しました。
こうして知り合いのいなかった徳島に、友人の行きつけのバーの店員さんや、先輩の知り合いなど、たくさんの知り合いが出来ました。

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