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大阪(2) -- セールドリルで「バキッ!」


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日本丸と海王丸同時のセールドリルが始まりました。

声には出してはいませんが、どちらも相手の船には負けたくなかったと思います。
ただ私たち日本丸はセールが36枚、海王丸は30枚。
同時にフルセールまで持っていければ、私たちの勝ちだと思っていました。
でも終わってみれば・・・どちらが早かったなんてのは全然覚えていません。
ところが、ハプニングがひとつだけありました。
なぜか、大阪はいろいろあります。でも、今回は日本丸ではありません。

両船ともフルセールに近づいてきたとき、「バキッ!」という音が聞こえました。
フォアマスト配置の人は、それが海王丸からだと気付いたそうです。
メインマスト配置は、それがどこから聞こえたかわからず、上の方をきょろきょろと見回していたようです。
ミズンマスト配置であった私たちは、音は聞こえなかったと思うんですが(私には記憶がない)、なにか前のほうが騒がしくなってきたので、その異変に気付きました。

なんと、海王丸のミズンマストのロイヤルヤードがポキッと折れていたのです。
海王丸のヤードは、ロイヤルヤードのみ「木」で出来ているのです。
これは、風の強い冬の北太平洋などを帆走するときに、マストがもたないのか、船がもたないのか、とにかくロイヤルヤードを取り外すときのために、軽い木で作ってあると聞いています。
その木製のロイヤルヤードが折れてしまったのです。
彼らもよっぽど気合いが入っていたのでしょう。
日本丸には負けたくなかったのでしょうね。

セイルドリル
セイルドリル
そのヤードの後日談は、、、忘れてしまいました。m(__)m
横浜の日本丸のヤードを借りたんだったかなぁ?
その場にはなかったんだけど、他にスペアのヤードがあったんだっけかなぁ?
しかし、そのせいかどうかはわかりませんが、ミズンマストのマストオフィサーだったB2/O(次席二等航海士)が胃潰瘍で下船することになったと聞きました。

さて、セールドリルを自分たちでするようになってから気付いたのですが、セールドリルをするときには、タグボートで船を引っ張っているのです。(右上の写真でもタグボートが写っているのがわかると思います。)
帆船はセールを上げると前に進み出します。
セールドリルをするときには、セールに風をはらませないようにするのですが、少しは前進力がつきます。
そのためにタグボートで後ろに引っ張るのです。

(注) ここでの話しは1989年5月の出来事です。
   海王丸は旧海王丸です。

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