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門司〜大阪(2) -- レーダーは見ずに走ろう


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1989年5月12日。日本丸は大阪へ向かっていました。
紀伊水道通過前からレーダーには、ほぼ出来かけの関西国際空港が映っていました。
しかし、それよりも驚いたのは、レーダーには無数といってもいいほどの航行船舶が映っていたことです。
以前に私は大阪には一度、神戸には何度も出入港しています。
なのにこんなだったかなぁと思うほど船が多いのです。
士官には「レーダーばかり見ていたら恐くって操船できないぞ!」って言われました。
本当にそうです。
このレーダーを見ていたら、抜けていくスペースがないように思える。この時の印象は結構強烈でした。

僚船の海王丸は、既に神戸港に入港しています。
そして次の日、大阪に入港することになっています。
日本丸も大阪港外に一旦錨泊し、海王丸と同時に入港する手筈です。
大阪では1983年に、大坂城築城400年祭りの一環として「OSAKA WORLD SAIL '83」という帆船祭りがあり、世界から10隻の大型帆船が集まりました。
日本丸と海王丸が、大阪港に同時に入港するのはそのとき以来のことです。
1989年は大阪港開港100年だか120年だかの記念の年なのです。

話しはちょっと横にそれますが、この1983年の「大阪世界帆船祭り」が、私が海に興味を持つきっかけだったのかもしれません。
高校生だった私はこのときのために、一眼レフカメラと200ミリの望遠レンズをそろえ、特別観覧席の抽選にはもれたのですが、早朝から大阪南港の野鳥公園に向かいました。警備の人もおらず入り込むことが出来たのです。

帆船祭りのことを英語では「オペレーション・セイル(オプスル)」といいます。
1964年にニューヨークで開かれたのが最初だそうです。
そして、この83年の「大阪世界帆船祭り」は東洋で行われた最初の帆船祭りとなったのでした。
そこに私の思春期が重なったのは偶然なのか、運命なのか、私の進むべき方向が変わったのは、このときだったような気がします。

大阪帆船祭りのチラシ
大阪帆船祭りのチラシ
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