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和歌山〜門司 -- 大型帆船のタッキング


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和歌山出港が4月26日。
次の港である、北九州の門司港入港が5月2日。
さてさてさてさて、これはちょっと時間がかかりすぎているとは思いませんか?

実は、国内航海(内航と私たちは言います)といえども多少は帆走の訓練を行ないます。
銚子沖で一度帆走はしていますが、この航海でもう一度マスト配置を替えて行いました。
このときの私の配置はメインマストでした。
和歌山からの経路は次のようになります。
和歌山から四国沖にでて次の日から2日間帆走、九州の西側を北上し、博多沖に回り込み、関門海峡の手前で錨泊して時間待ちをし、門司に入港しました。

前回の帆走は遊びのようなものでしたが、今回のは疲れました。
何と言ってもタッキングをくり返し行なったことです。
昔の帆船ではタッキングの成功率が低かったので、どうしても風上に向かって方向をかえたいときには、風下回りといわれるウエアリングをしたと言われています。(右上図)

しかし、日本丸は帆走性能があがっているのでタッキングも可能だ、とのことですることになったのです。
このあいだの帆走でも最高で10.5ノットを記録しています。

大型帆船のタッキングはどうするかというと・・・(右下図)
例えば今、スターボードタック、つまり右舷から風を受けているとします。
タッキングは船の方向をかえることから始まります。
舵を右一杯に切ります。これにはあの大きな舵輪を約30回まわします。
横帆に裏風が少し入ったところで、フォアマストを除くヤードを全部逆側に動かします。 これで、風上を少し回ったところまでは行くのですが、このころには船の行き足がほとんどなくなっています。(横帆が多いですからね)
そこで、舵を逆側に切り直します。(元に戻すのに30回。そして逆側にさらに10〜15回くらいかな?)

すると、フォアマストはまだスターボードタックのままですから、もろに裏風をうけてバックし出します。
舵は左に切り直しているので、船は風を左舷から受けるように動いていきます。 このあいだにステイスルのシートもすべて反対舷に付け替えます。
船の角度が変わり、前進できる角度になったところでフォアマストをポートタックにヤードを動かし終了です。

これだけの作業はかなり大変なことなのです。

ウエアリングの方法


タッキングの方法

(**)
「航海訓練所」のホームページ内に「船の知識」というところがあります。タッキングやウエアリングについてはそこが詳しいです。

リンク :   ・帆走法 : タック変えるぞ !! タッキングとウエアリング  
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