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東京港外 -- 登檣礼の練習


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皆さんは帆船の入出港、特に出港を見に行ったことがありますでしょうか?
帆船は、実習生を乗せているときは、必ず「登檣礼(とうしょうれい)」といわれる出港式をおこないます。
これは、見送りに来て頂いた方々へのお礼も込めて、乗組員(実習生)がマストに登り、「ごきげんよう」を三唱するものです。

しかし、私たちはまだ帆船に乗ったばかりなので、すぐには出来ません。東京の晴海埠頭停泊中には、私たちの各学校の卒業式もあるため、2週間程停泊しますが、そのあとの出港のために練習しておく必要があるのです。
さすがに、岸壁に着いたまま、人もある程度見ている中でそんなことは出来ません。そこで、一旦東京港外で錨泊し、登檣礼の練習をおこないました。

登檣礼
登檣礼(左下の実習生が実はワタクシ)

次の館山での錨泊にも大きな理由があります。
私たちが日本丸に乗船して2週間あまりたつのですが、いまだに日本丸は裸のままです。「太平洋の白鳥」と呼ばれるその象徴的なセールが、まだ付いていないのです。そこで、セールの取り付け作業をここで行うことになりました。
(専門用語ではベンディングセールといいます。)

セールは、建造当時は2セットを製造会社によって機械により作られて持っていました。しかし、セールは消耗品です。そこで、実習航海中に今までの実習生が、せっせと新セールをつくる作業をします。そして、私たちが乗り込んだその年、初めて実習生の手作りの3番目のセール(C帆といいます)が出来上がりました。

私たちはこのC帆をセットして航海するのです。
こういう(先輩たちが作ったのだョという)話しを聞き、感慨深げでもあり、誇らしくもありました。
(ちなみに、この年の海王丸はR帆だかS帆だかを付けていました。それはそれで、歴史を感じられる素晴らしいものだと思いました。)

セールが取り付くと、今度はセールを上げたり操作したりする練習も始まりました。むつ港では、すでにセールドリルと呼ばれる着岸しながらの全帆展開することも予定されていますし、途中の千葉沖では実際に帆走することも計画されているので、これらに備えての大切な練習・訓練です。
ただ、4本の各マスト配置により作業することも全く異なるので、実習生は4班に分かれて、その配置された箇所の担当作業をきちんと習得するということが重要とされました。


(**)
最近(2004年)は「航海訓練所」のホームページが充実しています。登檣礼の起源などもありました。

リンク :   ・登檣礼の起源  
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