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浦賀(4) -- ドック注水!


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浦賀を出て行くときがやってきました。
ドックに水を注入するというめずらしいことも経験しました。
その前に、船の底をみることが出来るということも大変貴重な経験なので、船底見学が行われました。

船底には重要なものが何種類かあります。
まずキールといわれるものがあります。これは船の骨格となるものです。
通常船の内部にあるのですが、帆船の場合船の外に出っ張っています。
約25cm。旧日本丸は約15cmだったらしいので、10cm長くなったわけです。(新海王丸は、これが約30cmになると聞いています。)

船の航行には余分な突出物は、水の抵抗が増え邪魔になるのですが、帆走時には船の横流れを防ぐために、このキールが重要になります。ヨットやウインドサーフィンのセンターボードと機能は同じです。
これにより日本丸の帆走性能は世界に誇れるほど素晴らしいものになりました。

それから、船底には一定間隔で亜鉛板が付いているのです。
船の外板は錆止めも含め塗装してあるのですが、それでも金属の腐蝕がおこります。これを鉄よりもイオン化傾向の高い亜鉛を先に腐蝕させることで、防ぐようにしているのです。
また海草などが付着するのを防ぐために、少しずつ防腐液がとけ出すような塗装もあるようですが、環境問題が大きくとりだたされている昨今、こういう環境を破壊する恐れのある物は少なくなってきているようです。

日本丸の船底
日本丸の船底
また、プロペラなどを間近でみられることもめずらしいことです。
さらに、船底にはいろいろな穴が開いています。
冷却海水の取り入れ口がもっとも大きな穴ですが、それらを見ることも通常では考えられないことのひとつです。

これらの見学のあと、ドックの注水作業を見学しました。
日本丸を進水させ、水門を開けるまでは約4時間もかかるのです。
こうしてようやく日本丸はドックを出て、東京港に向かうことになりました。

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