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| コース関連概略図 |
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氷 山 街 道 氷山オンパレードの中をエスペランザ基地へ
【船7日目】 【2010年】 2010年2月8日 アドミラルティ湾とエスペランザ基地
霧で何も見えない。風雨が強く、海は白い波をたて、氷の破片が海面でうねっている。風のすごい唸り声。暗い海以外はな〜んにも見えない。
船はゆっくり進んでいるが、午後にはアドミラルティ湾に到着。ここにはポーランドの南極基地があり、気象が許せば、基地の隊員がボートで船を訪れて乗り込み、船の操縦室から乗客に挨拶の放送等をし、そして、キャベツetc.の新鮮野菜をボートに積んで基地に戻る、そうである。船はここでしばらく停泊する。
雲が低く垂れ込めていて視界もなく、周りの景観は何も見えない。勿論、ポーランドの基地も。
小雪が小雨のように降り続ける中を、私達も含めて、大勢の乗客が甲板に出て、霧のむこうにある筈の何かをじっと見ようとする。そのうち、霧がわずかに薄くなり、アドミラルティ湾の景観がぼんやりと姿を現した。ポーランドの基地は、なんと、目の前にある。
基地からボートがこの船に来るのが見え、しばらくして、ボートが基地と船とを何度か往復して、そして、夕刻、船はアドミラルティ湾を離れた。
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今日の昼食のブッフェレストランの屋台の企画は寿司。見た目がけばけばしいのでまずいかなと思ったが、食べてみるとネタの酢じめの魚が驚くほど美味しかった。
船は、今夜から翌朝にかけて、ノイマイヤー氷河へ向けてブランスフィールド海峡を南下する。
【船7日目】 【2011年】 2011年1月15日 アドミラルティ湾とエスペランザ基地
船は、朝7時過ぎにはアドミラルティ湾に入る。空には青空が・・・・・期待が高まる。
明るい陽光をいっぱいにあびながら、船はゆっくりとアドミラルティ湾の奥に向かう。
海が穏やかなのに驚く。波はほとんどない。昨年の南極の4日間はいつも、荒波を見、強風を身にうけていたような気がする。いま、目の前にあるアドミラルティ湾は、ここが前年に見たのと同じ場所だとは思えないような、素晴らしい景観の中にある。
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船は、9時am過ぎにはホープ湾エスペランザ基地へ向かうという放送があった。前年は強風のためにエスペランザ基地には向かわなかったので、そちらに向かうと聞いただけで嬉しい。
ここは、Antarctic Sound(氷山街道)といわれるように、まさに氷山のオンパレードだ。船は氷山と氷山の間を縫うように進んでいく。船が進むその正面をふさぐように漂う氷山を、かすることもなく、船はゆっくりと進む。
"エスペランザ基地へ向かう"と言っても別にエスペランザ基地に用事があるわけではない。エスペランザ基地のあたりまでの間に氷山が多くあるので、それをわれわれ観光客に見せるためのコースである。氷山街道観賞コースというわけだ。
船はエスペランザ基地へ到着することなく、Uターンしてホープ湾の入口へ方向を変えた。観光船は午後6時頃までにホープ湾を出なければならないそうである。
【船8日目】 【2010年】 2010年2月9日 ノイマイヤー氷河周辺
朝から好天気。朝食をさっさと済ませ、甲板へ上がる。景観は・・・ワンダフル!
しかし、すごい強風。波しぶきが風にふき飛ばされ、それが霧になって湯気のように立ち昇っている。湯気だけを見るとまるで温泉のようだ。
強風は一日中おさまることはなかった。午後だったろうか、船が急に大きく傾いた。甲板で、私達は右舷にいたのだが、船は、右舷を上に、左舷を下にするように横に大きく傾き、右舷にいる私達は手すりにつかまっていなければ下の方に、左舷の方にずり落ちそうな感じになった。30度くらいは傾いたのではないだろうか。船が傾いてひょっとするとひっくり返るんじゃないかと不安になったくらいだ。
後で日本人コーディネーター土屋さんに聞いたのだが、まず、この船にはナントカという装置が付いていて、傾いてもひっくり返ることは絶対にないので安心を、と。そして、船が傾いた原因は、非常に強い強風に船があおられたからである、と。あの瞬間の非常に強い強風とは、風速247(フィート?)であった、と。
風速247フィートは、日本式でいえば、風速ほぼ75m。風速75mもあれば、通常、私達は甲板で立っていられなかった筈ですよ! だが、土屋さんは、人間は風速に慣れるんです。強風の中にしばらくいれば、強風をあまり感じなくなるんです、と澄ました顔で言った。
そう聞けば、そうかも、と思い当たるフシもある。
22年前のパタゴニア旅行の際、私は奇妙な経験をした。フィッツロイ山群のあたりを歩いた時、あまりの強風で歩けなくなって、しばらく、じっと草に伏すようにしていたが、少し風がおさまったかな、というところで、再び、身体を丸めるようにして進み、そして、林の中に入ってホッとして落ち着いた。風を感じなかったので、ここは無風だと私は思った。そこでランチボックスを開け、ゆで卵を手にとって、ゆで卵に塩を上から振りかけた、つもりだが、塩がつかない。何度やっても、ゆで卵に塩がつかない??
フとその気になり、片手にゆで卵をもち、そのほぼ同じ高さで、他方の片手に塩をもち、塩を下に振り下ろした。すると、やっぱり! ほぼ同じ高さで横にあるゆで卵に塩がちゃんとついていたのだ。普通であれば塩は下に落ちるのに、ここでは、強風が塩を横に吹き流しているのだ。信じられない思いだったが、事実は事実だ。私は風を感じず、まるで無風と思っていた林の中が、実際はやはり強風の中にあったということだ。
私にはこんな経験があるので、風速247フィートは本当だったのだろう。
今日のコースは、ゲルラーシュ海峡を南下してノイマイヤー氷河に近づく。ここらあたりは細い水路が多く、我々の大型船は、気象の状況、つまり、氷山(氷)の状況から判断しながら、水路を選んで通るそうである。一応の予定コースはあるが、やはり、予定通りには行けなかったようだ。強風が氷山を細い水路に押し込み、通過は危険な状況にあるらしい。
復路は往路と同じグラーシュ海峡を北上、次の目的地デセプション島へ向かう。
船はこのあたりを、ゆっくりゆっくりと進む。勿論、我々観光客が景観を充分に楽しむためである。
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【船8日目】 【2011年】 2011年2月16日 ノイマイヤー氷河周辺
今日のコース予定は、ゲルラーシュ海峡を南下してノイマイヤー氷河に近づき、ゲルラーシュ海峡最南端にあるキャプスタン・ロックス Capstan Rocks を回って、ゲルラーシュ海峡を今度は北上する。昨年の予定も同じこのコースであったが、強風のためにキャプスタン・ロックスを目の前にしてUターンし、帰路に向けてノイマイヤー水路を北上したのだった。
昨年と今年とでは天候がまるで違う。昨年は晴天で、青空の下に広がるノイマイヤー氷河の素晴らしい景観を見ることができたが、しかし、強風で波が高く、白く泡立つ波が小さな霧のような水煙をあげていた。
今年は、青空は見えない。ノイマイヤー氷河周辺の景観は充分に見えるが、全体に雲がかかり、周辺の山容の稜線のカタチまでは見えないのはちょっと残念。しかし風がない。海は穏やかで波もない。海面はまるで鏡のように静かだ。
キャプスタン・ロックスを回るあたりは、海面は鏡のようで、周りの氷河や山の姿がその鏡に美しく映り、荘厳ともいえる景観だ。
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逆方向から小さな船が近づくのが見えた。はじめは作業船かなと思った。だが、こんなところで作業船が? 近づいてみると、観光船だ。船体に Ocean Nova という文字が見える。(後で調べたら)デンマークの南極観光船である。大きさは私達の船の100分の1以下だろうか。そちらの船からは私達の船はどう見えるかな、とふと考えた。多分、グロテスクなまでの巨大な怪物に見えるだろうな。なにしろ、船首の甲板に立って前方を見ていると、私達の船は、大口を開けて眼前にある景観をまるごと飲み込んでしまおうという程の大きさに感じられるのだ。このあたり、左右の陸地(氷河)がキャプスタン・ロックスのある細い水路に向けて狭まっていっているので、余計に、船の大きさが感じられる。
突然、「自然と人工との割合っていう問題があるよね」という考えが頭に浮かんだ。「自然と人工との割合で、許される範囲っていう問題が」。(自分はこんな大型船に乗っていて・・・・・!??? )
その船はゆっくりと近づき、私達の船を見上げるようにしてすれ違い、そして、ゆっくりと、ノイマイヤー氷河の景観の中を、小さく小さくなりながら ゲルラーシュ海峡に溶けてしまうように遠ざかっていった。
写真のほぼ真ん中にある小石のようなものが 観光船 Ocean Nova
天候に恵まれたからだろう、今年は、ペンギン等の動物がその姿をたっぷりと現わしてくれた。はっきりとペンギンの姿を確認できることも決して珍しくはなかったし、また、氷山に寝そべるアザラシの姿も数回見られた。鯨は、海中を泳いでる姿が海面からうっすらと見えることは珍しくなく、少しだけ尻尾を海面から出すこともあったが、残念ながらいい写真は撮れなかった。
ペンギン
(氷山街道)
アザラシ
(ノイマイヤー氷河周辺)
ゴマ粒のように見える
ペンギンの群は
何度も見た。
6時半am頃、デセプション島に到着。
デセプション島は火山島で、火口の部分が陥没して外輪山だけで構成された島だが、外輪山の一部が切れて海と繋がり、リング状のカルデラに囲まれた湾をなしている。
ブランスフィールド海峡側から、湾をのぞき込むように見た景観は美しい。
船は、その景観がすべての乗客に見えるように、湾の入口附近でゆっくり360度旋回した。
島の周辺に多くの氷(氷山)が浮かんでいたが、そのどれもが、素晴らしく美しい青い色をしていた。
この最近、これまでにないような強風が吹き、この周辺の氷床が割れて、破片となった氷(氷山)が海に漂っているのだという。
美しい濃い青い色をしているのは、それが非常に古い氷だということを示しているそうだ。
8時頃amにはここを離れ、ここを最後に南極海域を出て、ドレーク海峡を越えて、南米大陸の南端ホーン岬へ向かう。
【船9日目】 【2011年】 2011年2月17日 デセプション島
8時am前頃にデセプション島に到着。
今日は晴天。デセプション島も、まるで絵葉書にあるように綺麗に見える。
昨年は、デセプション島はきれいには見えたがしかし、全体にもっと暗く、甲板に出ていると冷たい風が痛いほどだった.。
しかし今年は、寒くもないし、明るい陽光の中、ハイキングでもして観光名所を目の前にしているといった感じだ。デセプション島が輝いて見える。
島の北側の海岸にペンギンの営巣地が見えた。船からは遠いが、ゴマ粒のようなものがキラキラ光りながら動いているのが見える。海岸線の浜から、中腹、そして山の上まで、ゴマ粒のようなペンギンがびっしりだ。写真には、距離があるので、ゴマ粒のようなものがあるだけでペンギンの姿までは撮れなかった。
【船10日目】 【2010年】 2010年2月11日 ホーン岬
昨日からほぼ1日かけて”魔のドレーク海峡”を越えた。
海を見ていると、さすがに波は高く、その波をじっと見ていると、気分が悪くなるような気もしないではない。しかし、心配する程ではなかった。旅行前に、客室の位置にこだわるなど、あんなに心配したのが何だったのか、と思ったり。とにかく、良かった!
今朝、ホーン岬に近づく。
甲板には大勢の乗客。勿論、私達も。
私達のそばでホーン岬を眺めている人々の間で、"ホーン岬"とは、あの小高い山の部分であるか、それとも、(写真右端に)細く突き出している部分なのか、について議論になっている。
英語で言い合っているのだが、とにかく、そんな風なことで議論し合っているのは私達にも理解できた。前に来たことがあるというアルゼンチン人が、細く突き出している部分に小さな灯台があり、そこが"ホーン岬"なのであると主張し、結局「細く突き出している部分がホーン岬」という結論に落ち着いたようである。
後で、日本人コーディネーター土屋さんに尋ねると、「調べます」。調べた結果は、ホーン岬とは(この写真の、島)全体をいうのである、と。
船はホーン岬附近をぐるりと周遊した後、ウシュアイアへ向けて進んだ。
【船10日目】 【2011年】 2011年1月18日 ホーン岬
天候は曇り、風も強い。時折、小雨もぱらつく。
7階のプロムナードデッキを歩こうと思ったが、風が強いためデッキへ出るドアがなかなか開かない。なんとか出てみると「デッキへ出ること禁止」!
夕方5時前くらいにホーン岬に近づく。岬はぼんやりと見えるだけだが、船は島の周りをぐるりと一周した。
荒れている海をイルカが跳んでいた。
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