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クルーズで終日航海の日、私達は大抵、屋内プールの周りにある気に入りのソファとかで読書をして過ごす。
今回のクルーズでは、他にもちょっとした楽しみもある。例のキャンペーンに付いている「ドリンク飲み放題パッケージ」だ。ビール、カクテルetc.etc.をタダで飲める。
しかし、残念ながら、私もツレアイもつきあいで飲む程度で、決して飲んべえではない。だから、ビールやカクテルのほか、通常はタダではないジュースつまりパイナップルジュースとかマンゴージュースとかで楽しんだ。それにしても、キャンペーンの「ドリンク飲み放題パッケージ」は1日に65米ドル分飲めることになっているが、私達はとてもとてもそれほどは飲んでいない。でもプレゼントですからね、「余った金額は返せ」等と私達が言える筋合いはない。
まあ、「飲んべえ」の人は楽しめるでしょうね。
船はこれから、カナリア諸島を去りポルトガルのリスボンを経て、帰着地ロンドンへむかって北上する。
2015年9月24日 リスボン Lisbon, (ポルトガル語)lisboa
ポルトガルの首都リスボンは、このクルーズの最後の寄港地である。私達にとっては、初めての訪問地。
クルーズの寄港地なので船主催のツアーはあるが、私達はツアーには参加せず、自分達だけでリスボンを歩きまわることにした。
クルーズの寄港地観光と、クルーズとは関係ない通常の陸上の観光とでは大きな違いがある。クルーズの寄港地で上陸する場合、当然だが、時間に限りがある。通常、自由に使えるのは半日。その寄港地(観光地)の見所が少ない場合は、ツアーに参加でも、個人行動でも、どちらでも半日あれば多分大丈夫だろう。しかし、一般的に見所の箇所が多い大観光地の場合、船主催のツアーは多い見所に合わせて複数のコースが組んであり、客はその複数のコースの中から1つを選ぶことになる。だから、大観光地の多くの見所を一回の寄港地観光で見たくても無理だ。ツアーで行くか個人で行くかに関係なく、無理。そして、サンクト・ペテルブルグのような特別な都市は例外であって、通常、寄港地での停泊は1日だけ。 大観光地をじっくり観光したいのであれば、クルーズではなく、陸上の観光で訪れるべきだ。
だから、私達にとって初めて来た観光地ではあるが、大観光地リスボンを今回本気で見ることは期待しなかった。クルーズではない陸上の旅で、いつか、リスボンを見に来よう。
今回、私達のリスボンでの目的は一つ。トラム(路面電車)に乗りたいというだけだ。
午前8時半頃には、船の停泊場所に近い国電(路面電車ではない、鉄道)の駅から国電に乗車、リスボンの中心に近い駅でトラムに乗り換え、ほどなく、コメルシオ広場に来た。
中央の王( ジョゼ1世)の像の後ろに見えるアーチ門は、観光客で賑わうアウグスタ通りに向かっている。
次はサンタ・ルシア展望台へ行こうとトラムを待つ。なかなか来なかったが、諦めかけた頃にやっと来た。トラムの中は観光客でいっぱい。
トラムを降りても、展望台付近はやはり観光客でいっぱい。地元民らしき人は、露店やレストランのスタッフ以外は目に付かない。リスボンが大観光地であることがいやでも分かる。
次にグラザ展望台へ行くためにトラム停留所で待った。が、待てど待てどトラムは来ない。
逆方向へ行くトラムもなかなか来ないと思って見ていると、あ、(逆方向へのトラムが)来た、
と思ったら ナント!15台も 続いて来た! その15台は繋がっているのではない。別々に動いているのだ。それがここでは15台も続いて来るとは ドーイー事!? 続いて15台も、なんて嘘だろ、と言いたいですか? 私は数えたのですよ、待ってるだけでヒマだったから。
トラムに乗るのを諦めて、私達は歩き出した。
歩いてみて、よく分かった。リスボンは坂が多い、というより、坂ばかりの街だ。
グラザ展望台へはずっと登り坂だ。
途中に、見事に美しい教会があったが、入って見るのは辞めた。
疲れた。
サン・ヴィセンテ・デ・ファーラ教会 →
出港で、離れてゆくリスボンを見ていると、今回は時間がないのでいつかまた見にこよう等と考えていたベレンの塔や発見のモニュメント が、なんと、眼前に見えるではないか。
← ベレンの塔
発見のモニュメント →
噴水の後ろは ジェロニモス修道院
2015年9月25日、9月26日 終日航海
終日航海の日にこそ
例のキャンペーン「ドリンク飲み放題パッケージ」を使う。
展望ラウンジで、
カクテル等をいただいてくつろいだ。
今回のクルーズで、辛かったのは英語。アメリカ語ではなくイギリス語だ。
このクルーズで、日本人は私達2人だけ、東洋人らしき人も数人だけで、あとはヨーロッパ人、というよりイギリス人。乗客の90%がイギリス人のようだった。
クルーズで個人旅行の場合、私達はレストランでは2人席をとる。まわりも大抵2人席、個人旅行の客ばかりだ。
どのクルーズでも殆ど同じだが、レストランの2人席にいると、初日の夕食の際、横の座席の人(大抵、私達と同じく2人)が「 Where Are You From? (どちらから?)」等と話しかけてくる。私達が「 From Japan 」と答えて、そのクルーズ生活が始まるのだ。
クルーズで楽しい気分なので、優しい気持ちでこちらのカタコト英語を聞いてくれる。時には、こちらの発音を厳しく訂正するおじさんもいるけれど。
今回は、横のご夫婦は生粋のイギリス人。完全なイギリス英語だ。
彼らのイギリス英語はなんとか聞き取れたけれど、こちらのカタコト英語は殆ど聞き取れないようだ。発音もまともではない「カタコト英語」は悲惨で、なんとか理解しようと努力してくれるあちらの様子が申し訳なかった。
船内放送も完全なイギリス英語。アメリカ英語でもイギリス英語でも、とにかくまともに使える場合は、きっとどちらでも問題ないのだろう。中途半端な「カタコト英語」の私達は、船内放送もあまり聞き取れなかった。今回のクルーズで辛かったのは、コトバだった。
2015年9月26日 ロンドン
2日間の終日航海の後、サザンプトンに着く。
サザンプトンからロンドンへは、行きと同じくバス National Express で。行きは空港からだったが、帰りはロンドン市の中心へ。
ロンドン市内の観光場所に近いホテル Waldorf Hilton に泊まる。行きはロンドン2泊だったが今度は1泊。明後日は日本への飛行機に乗る。
昼前にはホテルに入れたので、午後いっぱいは観光。
まず、ホテルの近くにあるコートールド・ギャラリーへ。印象派のコレクションが充実。
コートールド・ギャラリー内の食堂で昼食をとった後、
やはりホテルの近くにあるコヴェント・ガーデンへ。
ものすごい人、人。
今回の旅行のこれまでと違うのは、この人波の大部分が観光客ではなくて、地元の人々のようであることだ。
私は日本の地方都市に住んでいるので、こんな人波の中にいると息がつまりそうだ。
通りには大道芸人も出ていたが、その中に、私は初めてみるカタチがあった。
大道”芸人”ではなくて大道”魔術師”とでもいおうか。
身体が空中に浮いているのである。
2つほどタイプがあったが、その1つは、じっと観察すると、私にはそのカラクリが分かった。だが、も一つの方は、じっと観察してもそのカラクリが分からない。不思議だ。気になってしょうがなかった。
まず、布?に覆われた四角い箱があり、その箱にスコップが挿して?ある。
箱、スコップ、人物の服装、顔面を含めて、全身が同色(銀色)で覆われている。
スコップの柄に手をかけて人物は立っている、
というより、宙に浮いている。
側に樹木があるが、彼は樹木に寄りかかっているのではない。
人物と樹木との間に紐の類も全くない。
樹木は関係ないようだ。
渾身の力を込めてスコップを腕で押さえれば、
一瞬ぐらいは、身体を宙に浮かせることはできるだろうが、
しかし、この人物は悠々とスコップの柄に手をかけて、
悠々と宙に浮いている。
不自然な感じは無い。
だが、スコップを腕で必死に押さえている感じはなく、むしろ自然。
スコップを押さえる左腕は、この時、少し曲がる。
右手は、自由に動かして、帽子をとり、コインを入れた観客の頭をなでたりする。
足は、左足の上に右足を軽くかけている。
どの体勢でもこれは崩さない。
上半身と下半身が真っ直ぐ伸びているのも、崩さない。
最近、私は”魔術のカラクリ”にみょうに興味がある。魔術とか手品とかを見ると、必ず、できるだけ近くにいってじっと観察する。魔術師とか手品師は、必ず、並み外れて素晴らしく器用だ。それでも、じっと観察すれば、大抵、カラクリのタネは分かる。
私がどうしてこんな変わった?ことに興味を持つようになったか、心当たりはある。
作家ミヒャエル・エンデに「道しるべの伝説」という印象的な作品がある。
主人公ヒエロニムスは少年時代に魔術師のショーを見て強い興味を抱く。親から相続した遺産も捨て、ヒエロニムスはその魔術師に弟子入りするが、同時に、師である魔術師から「魔術には全てカラクリがある。言ってみれば、世の中全部、カラクリばかりだ。そして、みんなそれを喜んでいるのだ。」と教えられる。 師の死の後、やがて、並み外れて器用だったヒエロニムスは素晴らしい魔術師として成長し、魔術師としての名声と莫大な財産を築く。
ある時、彼はある門に出くわす。その門の入口には 「この門は 真の奇跡へと通ずる 清き心の者 通れ」 と書いてあった。彼は思った。自分はこの門を通る資格は無い、と。うなだれて彼はそこから離れた。
それ以後、彼は人々の前で魔術を続けるが、今度は、そのカラクリのタネあかしもし、魔術はウソだということを示した。「騙されるのが好き」な人々は「率直」になった彼には魅了されなくなり、彼は財産を失い、物乞いをするまでに落ちぶれたが、それでも彼はカラクリのタネあかしショーを止めなかった。
やがて、思いがけなく、彼はあの門の前に再び立つ……………。
およそこんな内容の小説である。この小説のテーマは勿論、”魔術のカラクリ”にあるのではない。私の勝手な解釈では、この小説は人間の中にある真実と虚偽について語っているのではないか、と。しかし、しかし、それよりも……………私は、”魔術のカラクリ”にみょうに興味をもつようになったのだ。
で、コヴェント・ガーデンのあの大道魔術師が気になる。今でも不思議だ。
夕食はロンドンの中華街で中華バイキング。客が多かったので入ってみる気になったのだ。まあ、中華の味は楽しめた。
2015年9月27日 ロンドン 帰国
今日は帰国便に乗るけれど、飛行機が夕方5時発なので、午前中はロンドンで。午後になって空港へ向かうことにした。
ナショナル・ギャラリー で午前中いっぱいを過ごした。以前にも来たことはあるけれど、定期的に展示物が入れ替わるようなので、何度でも来る必要があるようです。
空港へは電車で。電車が空港内まで乗り入れているので便利。
午後5時発、キャセイ・パシフィック便。香港乗換えで、翌日夜9時過ぎに関西空港着。
船のキャンペーンにも釣られる感じで参加した旅だったけれど、予想以上にいい旅でした。
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