100万$の夜景?

6年前香港島の夜景を見た時、私はあることに気がついた。 私はネオンが大好きだったのだ。
私は3、4歳の頃大阪のミナミに住んでいた。 社宅の窓から見える鉛筆会社の大きな鉛筆型のネオンサインを見るのが好きだった。 母の実家に行く時、必ず天王寺の信号待ちで見えるカルピスの今は亡きキャラクター (帽子をかぶった黒い顔の子供)がカルピスを飲むネオンサインは大のお気に入りだった。 その後、郊外の住宅地や農村に暮らすようになって、すっかり忘れていたが、 私はネオンを見ていたら心休まる人種だったのである。そういえば、 ブレードランナーに出てくる近未来都市の映像に妙に心動かされるし、 阪神高速の環状線を走っていてトリップしそうになったこともある。 (自分で運転していた時ではないので安心して下さい。)
私の母などは、高校まで田舎で育ったので、 私がこのごろ暮らしているような典型的日本の農村に来ると懐かしそうで嬉々としていたりするのだが、 さあ田舎で暮らしてみろと言われると引いてしまうようなところがある。 ところが私は正反対で、ネオンがきらきらしている景色に懐かしさを感じ、 どこか心癒されているのに、実際に暮らしているのは農村で、都会で暮らせと言われても、 それはできないと思うのだ。たまにだからエビス橋や香港のどぎついネオンを見て心安らいでいる。 私は父の転勤で3〜4年ごとに引っ越しをしながら育ち、 故郷というものを持たずに育ったと思っていたが、そうではなかったようだ。 記憶にある一番古い外の景色であるネオンの街は私の心の故郷だったのである。 それを気付かせてくれたのが香港の100万$の夜景だった。
そんな思い入れのある香港島の夜景は6年たってどうなっていたか。


一言で言って、しょぼい。
街ではバーゲンセール。商品が3折なら夜景も3折
返還されてと言うより、景気が悪いのだろう。 ひさや大黒堂の「ぢ」のネオンもないし、他のスポンサーも撤退してしまったようだ。 ビルのライトアップも少なくなったように思う。 まともな美的感覚から言えばちょうど良い光になったのだろうが、ネオン好きの私としては、 なんとも物足りない。がっかりして、夜の街にふらふらと歩き出したのだった。

返還後編のTOPへ