クレチン日記

 

平成6年7月6日

息子誕生 3440g よく眠る育てやすい赤ちゃん♪ 黄疸がひどくてマッ黄色

泣き声は少しハスキー

生後13日

産婦人科から電話 マススクリーニングの検査で 甲状腺ホルモンの値が異常に

大きく(2700!) 大学病院で精密検査を受けるように言われる 赤ちゃん死ぬかも〜!

と一日泣く ショックで母乳も止まる

生後17日

大学病院で精密検査 手首・足首のレントゲン ついこないだ産まれたばかりの小さな

細い手の甲より採血 動かないように地引き網のようなもので全身を包まれ 親は廊下で

待つように言われる 息子の泣き叫ぶ声を聞きながら廊下で泣く 辛い 可哀相

代われるものなら代わってやりたい

告げられた病名は先天性甲状腺機能低下症(クレチン症) 初めて聞く病名だった

早期治療が重要と言われ その日からチラーヂンSを飲ませる チラーヂンを飲まないと

脳も体も発達しないと言われる 命に別状はないと聞いて少し安心する

ベッドの上の診察では うつ伏せにしたり 仰向けにしたり 足を曲げたり

立たせるようにしたり ベッドの周りは学生が囲んでメモをとったりしていて

研究材料のような気がして嫌な気分だった 息子はずっと泣いていた

薬を飲ませるためのスポイドを買い 翌朝ミルクを飲む前に 少量のミルクで溶いた薬を

飲ませる 起き抜けで喉が渇いているのかゴクゴク飲んでくれる 産婦人科から退院して

初めて自宅で便をする 病気のせいで今まで出なかったのかなあ…? ずっと

寝てばかりだったのにチラーヂンを飲むようになってから よく泣くようになった

泣き声がかすれているとか よく眠るとか あまり汗をかかないとかもクレチンの特徴らしい

クレチンの場合 ほとんどの生命保険に加入できないので 産まれる前に偶然入った

学資保険に 怪我や病気の特約をつけておいてラッキーだった(・o・;)

生後24日

大学病院へ行く 採血の結果 やはりTSHは90以上あったそうだ チラージンは

一日一回10マイクログラム飲ませる 一気にTSHは標準値になる

生後1ヶ月

エコー検査 甲状腺はあるべき場所にあるべき姿で存在していることがわかる 主治医は

甲状腺は存在しない筈だと思っているらしく 少し期間をおいてもう一度調べましょう

と言われる 通院は毎週土曜日自宅から車で1時間 旦那も病院のために会社を休むので

上司から イヤミをいわれているらしい 有給も息子の通院のために使ってしまったので

今年の盆休みは無しだそうだ(+_+) 息子は「あー」とか「うー」とか言いながらズリズリと

ベビーベッドの中で位置を変えられるようになる 黄疸もすっかり消える チラーヂンを

飲んでいれば普通の子と同じように育つと言われた でも本当に歩けるようになるのか

喋れるようになるのか とても不安

生後3ヶ月

通院は月に一度になる TSHの値が少し標準より上がったので薬を増やすことになる

(40マイクログラム)

首すわり 指吸い 人見知りが始まる 髪の毛が多いので よく女の子に間違えられる

生後4ヶ月

TSHが下がったので薬を減らす(30マイクログラム)

生後8ヶ月

主治医の勤務曜日が土曜日から平日に変わる 土曜日はなんとか旦那に会社を

休んでもらえたけど 平日はさすがに休んでもらえない 息子を連れて電車で行くしかない

病院の診察は午前中なので 通勤ラッシュになってしまう(+_+) 他の乗客に迷惑だし

息子も可哀相なので 少し高くついてしまうが指定席の特急で通院することにした

月に一度の贅沢だ TSHは少し高め 様子を見る

生後9ヶ月

TSHは相変らず高いので薬を増やす(40マイクログラム) 乳幼児の間は成長が盛んなため

標準よりカナリ低め(バセドウ気味)で丁度良いらしい ハイハイを始める

生後10ヶ月

またまたTSHが上がったので薬を増やす(50マイクログラム) 薬の味がわかるように

なったのか 時々拒否されて 飲ませるのに時間がかかる 後追いがピーク

 

 

1歳

手首のレントゲンを撮る 骨年齢は3ヶ月ほど遅れているが問題はないそうだ TSHは

安定してきたので採血は2ヶ月に1度になる 病院について先生の顔を見るなり泣き喚く

採血も激しく抵抗する 予約のわりには診察まで恐ろしく待たされる 薬の待ち時間は更に

長いので院外処方にしてもらう ホイホイ歩く 少し反抗期 手を叩いたり電車に

バイバイしたり人間らしくなってくる

2歳

手首のレントゲンを撮る 骨年齢は1歳程度 採血の結果 カルシウムとコレステロールは

高く 鉄分は少ないらしい 駅に着くなり病院へ行くのをいやがる 少し知恵が

ついてきたようだ 病院にウルトラマンの本あるかな〜と呟くとサッサと歩き出す 採血では

ギャーギャー泣き喚くが ベッドの上での診察は初めて笑いながら受けていた ごくごくたまに

採血で泣かずに頑張れる時がある そーゆー時は看護師さんがご褒美にシールをくれる(^o^)

薬は60マイクログラムに増える エコー検査の前にシロップの睡眠薬を飲ませるが効き目無し

結局エコー検査は中止

3歳

採血の時 名前を呼ばれたら自分からサッサと入って行く 最後まで泣かず目をつぶって

我慢 次回から椅子に座って採血できるかも(^o^) 採血の結果 TSHが低かったので

薬は60マイクログラムから50マイクログラムに減らす

4歳

3歳で乳児医療が切れたので 保健所に申請用紙を出して特定疾患に切り替える これで

クレチンの治療費は18歳まで無料だ(^o^)♪ 手首のレントゲンを撮る 骨年齢は2年遅れ

エコー検査の結果はイマイチよくわからないらしい 採血をした時はご褒美が欲しいと息子が

提案 採血で泣かなかった時に 先生がシールやオマケ風オモチャをくれるので そこから

ヒントを得たらしい ちゃっかりしてやがる 泣かなかったので本を買ってやる

5歳

TSHの値が低すぎるので薬を減らす 採血は3ヶ月に一度になる 薬も3ヶ月分もらう

採血の時は泣かなくなった エコー検査の結果 甲状腺はあるべき所にあるべき姿で存在するが

 全く機能していないことがわかる 生まれつきの奇形ではなく遺伝の可能性が高いと言われる

二人目、三人目を産むとしたら やはりクレチン症で産まれてくる可能性が高いと言われ

落ち込む 薬は一生飲み続けることになりそうだ 甲状腺が全く無い場合は欠損性 甲状腺は

あるけど 形が奇形とか とんでもない場所にある場合は異所性 息子のような場合は合成障害

というらしい IQテストの結果は標準 テスト内容は…親は外で待たされ息子だけ個室に

連れて行かれたのでよくわからなかった どんなテストをしたのか後で息子に聞いてみたが

やはりよくわからなかった(^_^;)

6歳

薬は80マイクログラムに増える

7歳

手首のレントゲンを撮る 骨年齢は2年遅れ 前回より成長してるので心配ないと言われる

もし成長が止まっていたら大変らしい ポテトチップスの袋など上手く開けられないのは

骨年齢が低いせいなのか聞いてみた 全く関係ないそうだ ほっ! 睾丸の大きさを調べる

問題ないそうだ 息子は恥ずかしいのか顔がこわばっていた 先生いわく ホルモンの診察で

睾丸の大きさを調べない医者は「モグリ」らしい(^_^;)

8歳

今まで採血の時は私の膝の上で目をつぶって数字を数えながら…だったけど 一人で

椅子に座って しかも目を開けてできるようになった 成長したなぁ〜 TSHは標準値なのに

身長の伸び方が少ない 他のホルモン系統にも異常はないが FT4の値が少しだけ高いので

薬を75マイクログラムに減らす 初めての錠剤(50マイクログラムと25マイクログラムの2錠) 薬を

減らしたにもかかわらず 次の採血では更に FT4もFT3も数値が高め またまた薬を

減らす 65マイクログラムになってしまったので 散剤に戻る 束の間の便利な

錠剤だった(-_-;) 先生いわく 身長も体重も増えてるのに 薬の量が多すぎるとゆーことは

もしかして甲状腺が働きだしたかなぁ…! そうならいいな 神様 どうか

そうでありますように…(-∧-)

9歳

身長の伸びが悪いということで 成長ホルモンを調べてもらうが異常なし

FT3・FT4共に基準値内 ただ TSHの値が 9.17 に跳ね上がったため薬増量

再び 75マイクログラム の錠剤に戻る 最近ひどいなぁ〜と思っていた忘れ物や落とし物

もしかしたら薬が足りなかったせいかも知れないそーだ

キツク叱って可哀相だったかも…ごめんね(;_;)

と思いきや、薬を増やしても相変わらず忘れ物魔・落とし物魔であった…

採血は四ヶ月に一度のペース 学校を休みたくないらしいので 夏休みや創立記念などを利用して

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