クレチン症とは…?

甲状腺の機能が生まれつき低下している病気です
別名先天性甲状腺機能低下症とも言います

甲状腺は、のどぼとけの辺りに蝶々のような形で存在しています
成長に必要なホルモンを作っています

クレチン症の原因はヨードの取り過ぎ・環境汚染など、色々と言われていますが
はっきりした原因は不明ですし完治することも現時点では不可能です

赤ちゃんの頃の症状としては
黄疸・泣き声がハスキー・汗をかかない・便秘・あまり泣かずによく眠る
などがあります

新生児マススクリーニングによって発見されます
精密検査を受け、疑いがある場合は
生後三ヶ月以内に治療を始めるのが望ましいとされています
治療が遅れると、身体・知能の両方に障害が残る恐れがあります

早期発見・早期治療によって病気のことを忘れるくらい
普通に成長していきます
見た目にも全く先天性の病気だとはわかりません
生活するうえでは、食生活・運動共に何の制限もありません

定期的な検査と治療に関しては
国が定めた小児慢性特定疾患が適用され
20歳までは医療費が免除されます(所得制限有り)

地域によって違いはありますが保健所や病院などで申請用紙をもらえます
年に一度、継続の申請をする必要があり、その際に主治医の診断書なども
添付しなければなりません

余談ですが、地域によっては見舞金もいただけるようです


クレチン症のタイプ

三つの種類があります

欠損性 …甲状腺がない

異所性 …甲状腺の形や大きさが正常ではない
       甲状腺のある場所が正常ではない

合成障害…形・大きさ・場所ともに正常だが機能していない

一過性の場合は、いずれ薬を止めることができますが
それ以外は今のところ一生薬を飲み続けることになります

母親がバセドウ病の場合、一過性である可能性が高くなります


薬とは…?

チラーヂンSという薬です
足りない甲状腺ホルモン(T4)を補う薬で
一日一回、朝食前に服用します

錠剤の場合25マイクログラムと50マイクログラムの二種類あります
それ以外の量を服用する場合は粉剤となります


検査って…?

新生児マススクリーニング
新生児を対象に任意で行ないます
足のかかとから採血をし血中の甲状腺刺激ホルモン(TSH)の数値を調べます
その数値が基準値よりも大きい場合、クレチン症が疑われ再検査となります

採血
マススクリーニングの結果、再検査となった場合
更に詳しく血中の甲状腺ホルモン(TSH・T4・T3)の数値を調べます
これらの数値と身長・体重によってチラーヂンSの投薬量が決まります

成長期はホルモンの数値が不安定なので
定期的に通院して採血をすることになります
身長・体重も、その都度、計測します

エコー検査(超音波)
甲状腺の位置・場所・大きさなどを調べます
欠損性・異所性・合成障害のうち、どのタイプなのかがわかります

レントゲン
手首と膝の骨年齢を調べます
外見ではクレチン症かどうかわからないけれど
骨年齢は明らかに発達が遅れている場合が多いようです

遅れながらも成長を続けていれば問題はありません
一年に一度は撮った方が良いと言われています

IQテスト
小学校にあがるまでに知能指数を調べます

アイソトープ検査(放射性ヨード・負荷テスト・甲状腺シンチ)
異所性や合成障害の場合、自力でどのくらい機能しているか
一過性なのか永続性なのかを調べる検査です

約一ヶ月チラーヂンS(T4)の服用を止めて、代わりにチロナミン(T3)を服用します
平行してヨード制限食を与え、検査の一週間ほど前から
チロナミンも止めます
検査のために入院する場合もあります

ヨード制限食とは、ヨードを多く含む食品を
完全にシャットアウトした食事のことです
ヨードが多く含まれている食品は、主に海藻類です
和風のだしの素などにも含まれています

ヨードは甲状腺ホルモンを作るための重要な要素ですが
過剰に摂取すると、甲状腺の機能を一時的に止める原因にもなります
普段、普通に食べる分には何の問題もありません

このアイソトープ検査をしたからといって治療法が変わるわけではなく
病気が治るわけでもありません

大切な成長期にチラーヂンSを止めるということで懸念の声もあり
この検査を実施しない病院もあります
しかし、この検査をしたからといって悪影響が出たという話も
今のところ聞いたことはありません

聴力検査
確率は低いのですが難聴になる場合があります


甲状腺ホルモンの基準値

基準値と言いながら病院によって、かなりのバラツキがあります
大体の目安として参考にしてください

TSH-CLIA  …… 0.4〜4.0
遊離T4  …… 0.9〜1.8
遊離T3  …… 2.4〜4.3

遊離T4と遊離T3の数値が、この基準値より少なく
TSH-CLIAの数値が、この基準値より大きい場合は甲状腺機能低下症
その逆の場合は甲状腺機能亢進症ということになります


注意点

予防接種…集団予防接種に関しては何の問題もありません
        その他の予防接種については主治医に相談することを
        お勧めします

生命保険…先天性の病気を持っているということで
        加入できない保険がほとんどですが少しづつ良い方向へ
        向かってはいるようです

その他の薬…風邪薬やうがい薬など、市販の薬を勝手に飲むと
         チラーヂンSの効果が薄れることもあるようです
         主治医に相談してから服用することをお勧めします


最後に…

検査内容や薬の量の決め方など全国で統一はされていません
私自身も全くの素人なので上記の内容に誤りがあるかも知れません

本やインターネットで自分なりに調べ、自分の言葉でわかりやすく
解説したつもりですが、もしこれは完全に間違った情報だ!
というのがあれば、ご一報いただけるようお願い致しますm(__)m