「学園長先生!!」
学園長室に駆け込んで、何の挨拶もなく一気に襖を開けると、そこには学園長の他に上級生が1人いた。
文次郎と同じ深緑色の忍装束。長い髪をすらりと結わえた、整った顔立ちをした6年生。
火薬に関しては学園一の実力を誇る、作法委員長・立花仙蔵だ。
「あ……」
団蔵と仙蔵はしばし目を合わせた。
というより、仙蔵の鋭い眼光にすべてを射抜かれたような錯覚がして、目をそらせない。
学園長が団蔵の不作法を叱るまで、団蔵は金縛りにあったように動けなかった。
団蔵は学園長に事情を説明し、文次郎を助けてくれるように頼み込んだ。
学園長がそれは一大事だとし、どの先生に救助を任せるか悩みはじめた時、
「私に行かせてください」
仙蔵が初めて口を開いた。
その声は彼の顔立ちによく似合った綺麗なものだった。
学園長がそれはダメだ・危険だと反対しても、仙蔵は淡々と正当な理由を提示し、ついにはそれを納得させた。
団蔵はじっと仙蔵を見ていた。
その声色からも表情からも、何の感情も見いだせない。
団蔵は、文次郎のことを怖い先輩だと常々思っていたが、仙蔵の方がよっぽど怖い印象を受けた。
なぜだかはうまく説明できない。よくわからないから、未知の恐怖があるのだ。
でもその底知れなさは、この人なら先輩を助けてくれると信じさせてくれもした。
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