「助けてください! し、潮江先輩が…!!」
団蔵は小平太に泣きすがった。
「えっ、もんじがどうした?」
小さな震える体を受け止めて、小平太が驚いた声をあげる。
団蔵は泣くばかりで、途切れ途切れの言葉もよく聞き取れない。
「焦らなくていいから。何があったか、ゆっくり話せ」
ただごとじゃないと感じ取った小平太だが、優しい声で団蔵を落ち着かせる。

「せ、先輩が…僕のせいで、山賊に捕まったんです…」
おつかいの行きに、山賊に襲われたこと。文次郎に助けられたこと。
暗くなった帰り道、何者かが大勢で攻撃してきたこと。
文次郎が自分をかばってひとり森の中に残ったこと。
団蔵はたどたどしくも必死に事情を説明した。
「はやく、はやくしないと、先輩がっ…!」

「よし、わかった」
小平太はいつになく真剣な面持ちで、暗闇に紛れる山を見据えた。
「わたしがもんじを助けてくる。長次は、団蔵についてやってくれるか?」
小平太が隣の長次に目配せすると、長次はただこくりと、しかしたしかに頷いた。
それを確認すると、団蔵の身の丈に合わせていた小平太がすっくと立ち上がった。
泣きすぎで目をはらした団蔵に、ニッといつもの笑みを向ける。
「なぁに、もんじならきっと大丈夫だ。もしかしたら、山賊なんて全員倒してるかもな!」
楽観的ながらも力強い先輩に、団蔵は少しだけ安心を取り戻した。「はい…」

いけいけどんどん!
気合いを入れるためか、大声でお決まりのセリフを言ったかと思うと、小平太は山の方へと目にもとまらぬ早さで駆けていった。



















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