いくら激しく門を叩いても、叫んでも、扉は開かない。
何も道具を持たない団蔵1人では、学園の高い塀を越えることもできない。
どうしようもなく、団蔵はその場にしゃがみこんだ。
どうして自分はこんなに無力なのだと、団蔵は自責の念に駆られる。
「そんなところで何してんだ?」
場違いに明るい声をかけられ、団蔵はバッと声のしたほうに振り向いた。
そこにいたのは、忍術学園の先輩が2人。6年ろ組の、
「七松小平太先輩!中在家長次先輩!」
おそらく自主トレに外周を走っていたのだろう、深緑色の上着は肩にかけられ、袖のない黒下着でいる。
いつもなら畏怖の念から、1年は6年に声をかけることもためらってしまう。
だけど今のこの緊迫した状況の中、団蔵は姿を捕らえてすぐに叫んだ。