2009.04.23〜2009.05.22
【衝突する二つのボールの観察】 二つのボールが衝突した後,それらの速度がどんな規則で変化するか調べます. 以前高い所から落下する,一つのボールの高さや速度の変化は, 「エネルギー保存則」で計算できることを学習しました. 衝突する二つのボールの速度も「エネルギー保存則」で計算できるでしょうか. では衝突する二つのボールの質量・速度・はね返り係数を設定し, 衝突前後で二つのボールの運動が,どのように変化するか観察して下さい. 参考:軌跡を残しながら,次の条件でボールを衝突させてみなさい.
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【重要】まとめを確認して下さい. |
・はね返り係数が1.0の衝突@ABの場合,
ボールABの運動エネルギーの合計が衝突前後で等しく,エネルギー保存則が成立しています.
エネルギー保存則を使えば,衝突前後のボールの速度が計算できます.
・しかしはね返り係数が1.0より小さい衝突CDEの場合,
ボールABの運動エネルギーの合計が衝突前後で等しくなく,エネルギー保存則が成立していません.
別の法則を使わなければ,衝突前後のボールの速度が計算できません.
@ 初めに衝突前後のボールABの,運動エネルギーの合計を計算します.
【衝突前】 【衝突後】
【考察1】下図は上表の衝突Aの運動で,質量2[kg]速度4[m/s]で右向きに進むボールAと,質量1[kg]速度1[m/s]で右向きに進むボールBが衝突している様子です.
模式的に描くと左図のようになります.
【注意】
右向きの速度が多いので右向きを正とすると,
ボールBの衝突前の速度は左向きなので−1[m/s]と計算します.
はね返り係数が1.0より小さい0.5でも,衝突の前後でボールABの
運動量の合計が等しくなっています.(他のはね返り係数でも確認して下さい)
この性質を「運動量保存の法則」といいます.
この法則を使えば,どんなはね返り係数のボールが衝突しても,
衝突前後のボールの速度を計算することができます.
はね返り係数が1.0より小さい場合,
衝突の前後で運動エネルギーの合計が等しくなく,
エネルギー保存則が成立していません.
それでは,はね返り係数が1.0より小さい場合の,運動エネルギーの合計と運動量の合計を計算してみます.