【はね返るボールの観察】
ボールを投げ出す初速度・角度・高さを設定し「はね返り係数」の値によって,
ボールの弾み方がどのように変化するか,観察してください.
参考:ボールに軌跡を付けると,観察しやすくなります.
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【考察1】下図は建物の屋上から初速度5[m/s]で真横にボールを投げ出し,はね返り係数が0.7の床と衝突している図です.次のことを考えて下さい.
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【はね返り係数の公式】
日常私たちはボールの弾み方を,ボールを床に落として,はね返ってくる高さで判断することがあります.
この場合,はね返る前の高さをh1,はね返った後の高さをh2とすると,無意識にはね返り係数 e を
と計算しています.
ボールがいつも床と衝突するだけなら,これが公式になりますが,動いている2つのボールが衝突する場合にはこの式を利用できません.
【考察2】下図は,2つのボールA・Bの衝突前後の様子を表したものです.
【一般のはね返り係数の求め方】
全ての衝突で成立する,はね返り係数の公式を求めるにはどうすればよいか考えます.
左図は,床とのはね返り係数1のボールが床からはね返り,元の高さに戻ろうとしている様子です.
赤枠で囲まれた部分に注目すると,床に衝突する前後で,ボールの軌跡の間隔が等しくなっています.
これは床に衝突する前後で,ボールの速さが等しいことになり,その結果ボールは元の高さまで戻るのです.
ですから,はね返り係数は衝突前後の高さの比ではなく,速さの比で表せることになります.
結論として,はね返り係数 e の公式は
で計算します.
衝突前のボールAの速度を
ボールBの速度を
衝突後のボールAの速度を
ボールBの速度を
として,次のことを考えて下さい.
【練習問題】いろいろな衝突について,下図のはね返り係数を下の語群から選んで記号で答えて下さい.(速度の向きに注意)
【語群】 @0.8 A1.0 B0.56 C0.056 D0.72 E0.072