哲っちゃんのハチロク日記

第七号
98/5/20発行

ハチロク人生最後の日?

思い起こせば、雨が降った日はろくなことがない。

今から約6年半前、最初の車(ファミリア)は、初めて雨の中峠を走った時(それまでは、晴れた日しか攻めなかった)、初めて刺さる(小破。下り。タックインでタコ踊り)。
そして、次に雨の日走った時に、ギャラリーコーナーで崖に激突・一回転・横転と派手に決め廃車(またもや下り、タックインでタコ踊り。晴れの日は綺麗に決めてたけど、雨の日はアクセル戻して流して踏んだ後、びびって途中でアクセルを抜いてしまった)。
何故かあのころの私は、使わなくてもいい場面で突然タックインを使いたくなることがあった(今で言うFドリをしたかったんやね)。

次の車(KP61)は、雨の日に、コンビニへ入ろうとしたおばちゃんの車にカマを掘る(小破。タイヤワイヤーが出てた。止まんねー)。

そして会社に入り、念願のハチロク(初代)を買うが、これも大晦日雨の中、従兄弟を見舞いに行った帰り、突然スピンしイン側の崖に刺さる(小破。タイヤ021Rツルツル。タバコを持っていたため何も出来ず。タイヤ買えよ・・・)。

とまあ、歴代の車は全て雨の餌食になってきた(というか、俺が壊した?雨は苦手)。こう書いてくると、「えっ?!今度の車も刺さっちゃったの?」と思われるかもしれないがそうではない。

5月12日、その日は朝から小雨が降っていた。私は会社で禁止されている自動車通勤を行い、いつもの調子で会社裏の道路に路駐した。いつものようにたくさんの車が止まっており、雨も降っていたので、何も気にせず「今日は車だから帰るの楽だぜぇ」とばかり、夜10時まで残業をしていた(最近忙しい)。

夜10時、「さぁて帰るか」と外に出るとまだ小雨がパラついている。道路まで出るとあんなにたくさんあった車は1台も見当らない。「さすがにこの時間になるとみんな帰ってるなあ」とさわやかな気分で私の車が止まっている方を見た。いや、正確に言うと止まっているはずだった方を見た。

しかし、しかぁし、そこには私の車もなかったのであ〜る。なんにも無いのであ〜る。最初は景色と溶け込んでるだけかと思った。でもやっぱり無いのである。サァ〜っと血の気が引いた。

「ちょう、ちょう、マジ?うそやん!まてやぁ!ちょっと!うわぁぁ!!」(本当に口走っていた)と半分発狂しながら車を止めていた辺りに走って行った。
なんの痕跡も無い。
チョークも貼り紙も無い。
私の愛車は忽然と消えていた。

雨の中、風がヒューと吹き抜けた。「ちょう、うそやん、うそやん、・・・」と半べそで口走りながら、ほんの一瞬の間に、錯乱した頭で一生懸命考えた。「俺今日車で来たよなぁ?・・・来た来た。・・・・レッカーやったら痕跡あるはずやし、今日は雨降ってたからやってないやろし・・・どこかのヤンキーが乗って行ってしもてその辺のコーナーで刺さってんのとちゃうやろか?これから車がないのに3年間ローンを払い続けんとあかんのやろか。あんなに気合入れてチューニングしたのに・・・・ころす、殺す!!」と、半狂乱でうろうろしている。

気がつくと、もう携帯を取り出し110を押していた。つながると、いきなり叫んだ。
「車置いてて気がついたら無いんです!!」
後から考えると、これではなぁんも分からない。しかしこの時は、これが精一杯だった。とりあえず無くなったから探せと言いたかった。なんとか事情と場所を伝えると「近くに交番があるのでそこに行って下さい。」と言われた。
急いで交番へ向かう。向かっている間に「これで俺のハチロク人生も終わりか・・・」と考えると悲しくなってきた。

交番に着き、事情を説明する。
警官が盗難として調書を書こうとしていた時、ドキドキしながら最後の望みを賭けてたずねた。
「今日・・・この辺で・・・レッカーとか・・してないですよ・・ね?」
一瞬間があって警官が答えた。
「そう言えば、朝なんかやっとったなぁ・・」
「・・・・?!」(しばし間が開く)
「えっ?!やって・・たんですか?」(なにぃ?!やっとったやとぉ?!先それ言え!俺のは?俺のは?))

車の登録番号を教え、住○江警察署に確認を入れてもらい電話を待つことになった。

トゥルル・・・・電話が鳴った。
(頼む、レッカーであってくれぇ・・・)藁にもすがる思いである。
警官が電話をとり「ああ、そうですか。分かりました」と、妙に短い会話で電話を切った。
(やっぱり、無かったんやろか?)不安と緊張の一瞬である。
そして・・・振り向きざまに警官が言った。

「レッカーですわ。」


− 話はこれでは終わらない。この後さらに事件が!?・・・日記8へ続く

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