17.  THAIWAND WALL



 一瞬ムーヴに詰まったが、次のムーヴは頭で考えるのでなく、
本当に自然に体が動くようなフィーリングだった。
右足を右手のガバまで上げ、完璧なヒールフックが決まった。
右足が右手の代わりにホールドを保持しているので、右手が動く。
そのままクロスで左上の砂時計を掴み、この部分を越える。
あとはまた、巨大コルネに沿って、ガバホールドが続く。
終了点のすぐ手前では、コルネにまたがってノーハンドでレストできる。
そこから見えるホールドをじっくり観察し、ムーヴを組み立てる。
もうここまできたらミスは許されない。
7A+のマスターオンサイトがかかっているのだ。
3分は休んだだろう、慎重に登り始める。
幸いに、ホールドはみな、「かかり」がいい。
レスト後の1ムーヴがやや難しいだけで、あとはガバが終了点まで導いてくれた。
クリップする。
わけのわからんうちに登ってしまった。
正直、今の体調で7A+を一撃できるとは思わなかった。
下に降りてヒロコと喜び合う。
でもこのルート、ちょっとお買い得すぎではないだろうか。。。
OS M、 体感グレード 5.11c/d 。

 登り終わって休んでいると、K原さんとK村さんがやってきた。
K原さんも、「Lal Bab」にトライ中なので、どんなムーヴで登るのか、見ることにした。
しかし、例の核心で落ちる。
お節介かと思ったが、私のムーヴを教えると、すんなり行けた。
なかなか気に入ってもらえたようだ。
K原さんは、その直後のトライで、このルートをRPした。

 他のクライマーの登りを見たり、写真を撮ってるうちに、もうお昼になってしまった。
ここでもう少し難しいルートをやるか、別のエリアに行くか迷ったが、 結局、後者を選んだ。
K原さんとK村さんに、
「また、日本で会ったら登りましょう」
と言って、別れを告げる。

 少し潮の引いた海岸を歩き、ライレイ・ウェストまで戻る。
そのままRailay Village で昼食を食べ、一度バンガローに戻る。
THAIWAND WALL はアプローチがあまり良くないと聞いたので、 普通のシューズに履き替えて出発する。

 ビーチを南の端まで歩き、ジャングルに入る。
登り口には「タイワンドウォール こっち ↑」という意味の看板があった。
明瞭なトレールをどんどん上がっていく。
道がだんだん狭くなり、しかも急になってきた。
さらに進むと、2足歩行ができなくなり、手を使って登りつづける。
これは変だ・・・ と、思いつつ上を見ると、フィックスロープがあり、さらに上に人の気配がする。
強引にロープをゴボウで上がると、行き詰まった。。。
上の人はマルチピッチを登るクライマーだった。
今いる場所は完全にルートの一部のようだ。Thaiwand Wall からのライレイ・ウェスト
どこかで正しい道から外れたとしか考えられない。
しかたなくハーネスをつけ、ロープを出してヒロコをビレイし、下ろす。
私はクライムダウンし、道を戻っていく。
すると、左に進む道があり、そのまま行くとエリアの上部にでた。
少し急な道を下って広い場所にザックを置き、休憩する。

 私たち以外に、5・6人いる。
眺めのよさそうな「Circus Ozの1ピッチ目 6A+」を登る。
ボルト間隔もグレードに合い、適度で快適だ。
終了点はロープスケールで約29m。
ライレイ・ウェストを一望できる素晴らしいロケーションだった。
アンカーにセルフビレイを取り、ぶら下げてきたデジカメで風景を撮影する。
しばらく景色を楽しんでから降りる。
OS M、体感グレード 5.10b

  休憩していると、上のケーヴから人が(懸垂下降で)続々降りてくる。
周辺で登ってる人はそんなにいないのに、不思議だ????
マルチピッチを登って下降中という雰囲気でもないし・・・
しかし、その理由は日本に帰国してから知った。
実はこのケーヴはPhra Nang Beach に繋がっていて、 裏側から歩いてこられるそうだ。
納得・・・

  しばらく休憩し、「Live & Let Thai 7A ☆☆」をやってみることにした。
これがおそらく、Phra Nang 最後のルートになるだろう。



<Previous  Next>

[DIARY TOP]   [HOME]