9.  REAL・・・



 3度目のトライ。
登り始めて、腕がヨレテルのがわかる。。。
トラバースのやらしいムーヴをこなしレスト。
もう少し上がって最後のレスト。
止まってると、いっそうパンプしそうだったので、2・3度ずつシェイクして最後のムーヴに入る。
右手を取り、最後のデッドだ。
一瞬、躊躇しかけたが、いちかばちかで思いきって手を出した・・・
 今度は止まった!
ひぇ〜〜、ギリギリのRPや〜。
下では観戦してた白人の女性グループが、
「Nice Climbing!!」
と、声援を送ってくれた。
私も、手を振って応える。
本当にギリギリだった。
そして、 Lion king に、この日のクライミングの終了を告げられてしまった。
RP (3) P 、体感グレード 5.11c 。  

 すっかり疲れてしまった私は、TON SAI に戻って登る気力など当然なく、
午後はレストすることに決め、すごすごとライレイに引き返した。

 部屋に帰ってシャワーを浴び、ちょっと遅い昼食を食べに YAYA に行く。
まだ、あまり食欲がない。

  ライレイの一般のレストランで飲めるコーヒーはすべてインスタントだ。
まぁ、20Bほどなのだから当然か・・・
レギュラーコーヒーはバーなどで、「REAL COFFEE」と銘打って出される。
「本物のコーヒー」というわけだ。
値段はだいたい、どこも60Bだった。

 バンガローに帰って一服する(タバコは吸わないけど)。
水を飲もうと、冷蔵庫を開けてみると・・・・・ない。
補給されてるはずの水がないのだ。
ベッドメイクは終わってるので、メイドさんが忘れたのだろう。
通りかかった、若い男の従業員に、 「水ガナイ!」と、説明する。
しかし、私の英語では彼には通じなかった。
やはり発音が悪いのだろう・・・ 困った彼は、フロントに戻って別のおっちゃんを連れてきた。
おっちゃんが私に、
「Can you speak English?」
と、訊いてきた。
私が、ヘラヘラ笑いながら、
「A little・・・」
と答えると、 おっちゃんは苦笑していた。
なんと失礼なヤツ!
  それでも、単語を適当に並び立てて説明すると、理解してくれたようで、
タイ語で若い男に、
「♂●◎§×◆$▽!!」と、意味不明の言葉を喋った。
雰囲気から察するに、
「この日本人のおっさんは、水がない言うとんねん。下手な英語やけど、判ってやれヤ!」
と、言ったのだろう。

  おっちゃんらが引き上げて、部屋の外で待ってると、 水を2本肩に担いだメイドのおばちゃんが、
ニコニコ笑いながら、ゆ〜〜〜っくり歩いてやってきた。
ヒロコと二人で、
「日本のホテルなら、ダッシュで持ってきてるやろうね」
「まったくもう、タイの人ってこうなんだから・・・」
と、笑う。
せっかちになるのが、バカみたいだ。
プラナンのゆったりした時間の流れを再認識する出来事だった。

  食後は夕方まで本を読んだりして過ごす。
夕食は今日も Diamond Cave に行く。
今日は「ハンニバル」を上映していた。
あまり食事どきにそぐわない作品だなァ。
明日は「ハリーポッター」をやるらしい。
著作権料とか払ってるのだろうか。

 注文をし、料理を待っているとヒロコが、
「あの人化粧してるけど、男みたい。声が野太いよ」
と、言う。
その人物は、女性の格好をしているが、よく見ると確かに「元・男性」のようだ。
口紅を塗り、スカートをはいている。
胸のふくらみもあり、体つきも女性特有のラインだった。
YAYA に続くニューハーフの発見だ。
いや、「YAYAのオカマちゃん」は、まだ完全ではない。
こちらは本物のニューハーフだ。
私達は彼女のことを、親しみを込め「REAL オカマちゃん」と呼ぶことにした。

 しかし、肝心の料理はかなり待たされた。
なかでもピザは出てくるまで1時間はかかった。
ピザほどではないにしろ、ほかの料理もけっこう遅かった。
食後に頼んだコーヒーなどは、すっかり忘れられていた・・・
 
 明日は再び THE KEEP 方面へ行くことにした。
考えたら、プラナンに来てまだ7クラスのルートにトライしていない。
のんびりしてしまう雰囲気とはいえ、そろそろマジに登らなければ・・・



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