この日 文乃の横にいて ふっと思ったこと・・です

2007.1月2日
今日はお泊まり 数日前からたんが取れにくいようだ・・
足が相変わらず よく動く ピンクのパッドずれてたし・・傷 丸見えやった・・
3〜4日前から 頬が痩せてきているな・・少し気になる・・
丸い顔でいてほしいな・・ あまりやせないで・・
左足も なんだかやせて小さくなってきている・・
目も気になる・・ 変わらないでいてほしい・・

新しい年迎えられた・・良かったな・・文乃・・
もう  文乃 充分頑張ったよな・・
友達は 目覚まさないの? て言ってくれるけど 母さんは なんか・・
文乃 いつまで生きるの? いつまで生きててくれるの?
目を覚ましてくれるの? って思いが頭の中に出てこない・・
こんなこと 思ったらあかんよね・・
でも 現実は 無理や・・ 目を覚ますってことは ちゃんと元に戻ってほしい
ってこと・・  この状態がいつまで続くのか・・
毎日見てて お互い辛すぎる・・ 生きる者の身勝手さかな・・分からない・・
こんなすごく中途半端な状態が続くということ・・ どれだけ耐えれるのか・・

なにも あの時から時間は止まって 毎日前に進んでない気がする
何やってるのかな・・

いやや・・ いやや・・!
文乃が目の前に 居なくなるなんて・・いやに決まってるよ!
元に戻らないなんて いやに決まってる・・!

だけど・・ 文乃 充分頑張ってる・・ もう そんな長く頑張らんでもいいよ・・
かわいい きれいなままで 皆に会いたいよな・・ いい顔で会いたいよな・・
薬の量で 生きてても 文乃疲れるよね・・・ 
良くなる事が分かっていたら ちょっとずつでも回復するって分かっていたら
頑張っていける・・ 
でも 今頑張っていくことは 文乃の体力をどんどん消耗させて 
痛めつけてるような気がして・・
 
今だって 足は細くなって 顔もやせて 手のひらもかさかさになって・・
きっと見えない体の中だって・・
そんなん思ったらあかんね・・

なあ・・ 文乃はどう思ってるの・・? いま何処にいるの・・?
すぐ 横にいるの・・? いつまで生きるの・・? この状態でいいの・・・

もう・・ 自分で呼吸できないんよ・・
文乃の人生は16才で 止まっちゃたんよ・・ 
何処 さまよってるの・・?  文乃 どうしたいの・・


                        

1月3日
昨日 書き綴ったこと・・ 文乃聞こえてたのかな・・
二日 夜  呼吸器のホース交換・・しんどかったんやろな・・汗かいてた
その後もすごい汗・・ しんどいやろな・・
何度も拭いてあげた・・ 少しうとうとしてしまって・・ ごめんな・・

夜中 血圧下がって・・ 先生が・・ 心蘇生してくれた
薬の量 これ以上 上げれない位まであげた・・
家族が呼ばれた・・ 今度止まったら 本当に最後・・それがいつか分からないけど
そう遠くはないんだろう・・

延命は・・ と聞かれた時 首を横に振った・・ 
なんともいえない 悲しさ 寂しさ 辛さと・・ 絶望が・・ 
心の中 いっぱいになった・・

でも もうこれ以上文乃を 苦しめたくない・・

今は低いながらも 少し安定している 

今の文乃の顔も いい顔やで・・ 頑張ってる顔やで・・ 
いっぱい頭撫でてあげる・・ 手も握ってあげる・・ 本当に最後の頑張りやんな・・

もういいよ・・ もういいよ・・
もう文乃と会えないの 覚悟したよ・・ もう目の前で見れなくなるの覚悟したよ・・
手握れなくなるの・・ 頭撫でてあげれなくなるの・・ 覚悟したよ・・
七週間近く ずっと居てくれたね ありがとう・・
もう少し居てくれるの・・? もういいよ・・ もういいよ・・
文乃と一緒に 今までにないほど 沢山音楽聞けたよ・・
大好きな音楽 まだかけとくから・・

今の 文乃の顔も 大好きやよ・・! 本当に大好きやよ・・!!






入院中の日記は ここまでです・・
二日から三日にかけては 寝れず そのまま朝を迎えました
三日 父さんと弘一は そのまま病院にいました 
私は 昼間一度家に帰り 少し家の用事を・・
三日の日記はこの時に書きました

その間に 文乃にもしも何かがあったとしても 仕方がない・・と思っていました
それでも 何度かメールをいれ 文乃の様子を聞いてました

いつものように 顔や体をきれい拭いてもらったり お着替えしたり
左耳のガーゼ交換や 左足の消毒などしてもらって 一応安定してたようです

夕方 4時半過ぎ位に再び 病院に着きました

うっすら額に汗をかいていたので 拭いてあげました
文乃の手や腕に クリームをぬってあげたりして・・
なんだか肩のあたりに すごく力がはいっていた・・

心電図を見ていると 心拍の数値が 一つずつ下がっていっている・・
でも 一つぐらいなら 今までもあった・・ でも・・確実に 下がってる・・

おかしいよね・・ ちょっと弘一見て・・!
手を握ってあげて・・!
下がってるよ・・ おかしいよ・・!!
波の形もおかしいよ・・!  父さんも弘一も あわてだした
そしたら 血圧も下がりはじめている・・!
ナースコールを押し続ける・・!でも なんかすぐに来ない・・!

その間・・ 一つずつ下がってた数値が ある程度の所まできた時・・
後は 一気だった・・ 転げ落ちるようにあっという間に  0 という数字になり 
波打ってた線は まっすぐな一本の線になってしまった・・
それと同時に 文乃の顔色も 一瞬にして変わってしまった・
信じれなかった・・ 嘘みたいだった・・ 
今まで頑張ってたのが・・ 嘘みたいだった・・
本当に・・ こんなあっけないものなのか・・

私は文乃の 手を握ったまま あやの・・って動かした・・
まっすぐな線が少し波打った・・ まだ暖かい手・・
夕方 5時11分・・・文乃は頑張るのをやめ 旅立って行きました・・

文乃は 待っててくれたのかな・・母さん来るまで・・
手にクリームぬっている間に 
文乃は だんだん 疲れたのかな・・ 安心したのかな・・

皆 4人揃った時に 頑張るのを やめたね・・
そして 最後に 文乃は 弘一の手を握り返してくれたよね・・

それが偶然であったとしても・・ 
それもまた 文乃の意思だったと・・思いたい・・


本当に えらかったね・・・  頑張ったね・・


本当に 最後まで ありがとう・・・ 忘れないよ・・



いっぱい握ってあげたね・・
最後の時
ピースつくってあげた・・
病室の窓から・・雨上がり
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