四国八十八ケ所遍路旅

行程 日付 天候 札所 歩行距離 累計
9日目 3月20日 曇り時々晴れ 24番~26番 35.8Km 267.5Km


「春分や かわず 菜の花 ホーホケキョ」

■行程
三津「バス停」5:50→6:48御厨人窟(みくろど)7:00→室戸岬・灌頂浜→7:46「24番:最御崎寺」8:05→8:10灯台8:15→9:25「25番:津照寺」9:50→10:45「26番:金剛頂寺」11:05→15:35「ホテル奈半利」

◆三津「バス停」5:50
人家に近いところで野宿する場合は早出が原則である。次のバス停を覗くと男性遍路がおられて出発の準備をされていた。朝は車も少なく、海沿いを歩くのは気分爽快である。室戸岬に向かって南下し、白くて巨大な大師像の前を通過すると、まだ人影のない御厨人窟(みくろど)に着いた。

御厨人窟(みくろど)6:48・7:00
ここは大師が岩屋に籠って修行中、口の中に明星が飛び込んで「虚空蔵求聞持法」を会得した地として有名である。「虚空蔵求聞持法」は、一定の作法に則って真言を百日間かけて百万回唱えるというもので、これを修した行者は、あらゆる経典を記憶し、理解して忘れる事がなくなるという。洞窟の奥行きは短いが中は広くて天井も高く、奥の岩棚には石仏・石塔などが並ぶ。右の洞窟は神明宮で、天照大神がまつられているようだ。洞窟から出てくると目の前に海が広がり、頭上の青空が眩しい・・・真に空海である。そこから室戸岬に向かって海沿いを40分程歩くと、右手に24番札所への上り口が分かれる。先に室戸岬を見学することにして、300m程直進すると「中岡慎太郎」の銅像があった。

室戸岬7:05・7:25
中岡慎太郎は土佐国安芸郡の生まれで、幕末に坂本竜馬らとともに活躍し、竜馬の海援隊に対して、中岡は「陸援隊(浪士隊)」を組織し、薩長連合、薩土密約、大政奉還など、明治維新への立役者として活躍したが、大政奉還から1ケ月後の慶応3年11月15日(1867年12月10日)、京都河原町の近江屋で坂本竜馬と共に暗殺され、2日後に享年30歳でなくなっている。

銅像から3分ほど歩くと潅頂ヶ浜に出て、ようやく室戸岬の先端まで来たことを実感する。上り口まで戻って標高差150mを登って行く。途中で下ってくる遍路と挨拶を交わしたが、例のドイツ人女性だった。「一夜建立の岩屋」や「捻岩」などを見ながら、地道と古い石段道を20分程登ると、24番札所「最御崎寺(ほつみさきじ)」の山門に着いた。

「24番:最御崎寺」7:46・8:05
仁王門をくぐると境内正面に本堂、右手に鐘楼堂、虚空蔵菩薩石像、多宝塔などがあり、左手に大師堂があった。参拝者の姿が全く見当たらないのが不思議だ。般若心経もようやく詰まらずに暗唱できるようになったので、声を出してゆっくり納経する。境内には「鐘石」なる岩があり、これを石で叩くと鐘のような音を発するのが不思議だった。仁王門にザックを置いたまま、坂道を下って室戸岬灯台に向かう。

室戸岬灯台8:10・8:15
白い灯台越しに太平洋を一望する。スカッと晴れていないのは残念だが、ともかくもここまで歩けたことに感謝する。戻って寺の裏手の駐車場から室戸スカイラインを辿って岬の西側に降りる。こちらは太平洋や室戸の町を眼下に望みながらの快適な道である。室戸の市街に入り、多くの漁船が整然と並ぶ室津港の脇を通ると、右手の高台に25番札所「津照寺(しんしょうじ)」が姿を見せる。

「25番:津照寺」9:25・9:50
朱色の山門をくぐると右手に大師堂と方丈があったので、前のベンチにザックを置いて本堂に向かう。本堂は正面の125段の急な石段の先にあり、石段の途中には1回がアーチ状の門、二階、三階が朱色の鐘楼門がある。納経後、本堂前からの展望を楽しみ、大師堂で納経してから次の26番札所に向かう。遍路マークを辿って室戸の市街地を抜け、海岸線に沿って行当岬に向かって歩く。元川を渡ると右に折れて山道を600mほど登って行くが、途中からキツイ坂と石段登りに喘ぎつつ、26番札所「金剛頂寺(こんごうちょうじ)」に至る。

「26番:金剛頂寺」10:45・11:05
標高165mの境内は広々としていて、山門をくぐると左手に風格のある大師堂、右に鐘楼があり、正面石段を上ったところにある本堂は比較的新しい感じだが大きく立派である。旅館でご一緒した遍路の方の話では、金剛頂寺の宿坊は料理が良くて人気があるのだそうだ。
雰囲気の良い山道を辿り、袋掛けされた枇杷の畑を見ながら西に下っていく。道の駅キラメッセから国道を進み、東ノ川を渡って吉良川町に入ると、石垣やなまこ壁、黒い板塀など重要伝統的建造物に指定された古い街並みが続く。海岸線沿いの国道55号線を歩き、羽根岬から振り返ると室戸岬に向かって大きくカーブする海岸線が美しい。
明日は宿に荷物を置いて神峯寺を往復するつもりなので、基点にある旅館に電話したが満員だと断られ、仕方なく6km手前のホテルに宿を取った。

「ホテル奈半利」15:35
ホテルは遍路割引500円のサービスがあり4500円と格安だった。ホテルの大浴場にドップリと浸かった後、レストランで海鮮丼を食べる。今日は逆打ちの方3人程と挨拶を交わした程度で、日を追うごとに遍路の数が減っていくようだ。


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