■行程
休憩所6:35→一本杉庵7:20→9:10「12番:焼山寺」9:40→杖杉庵10:05→10:25お接待所10:35→玉ケ峠11:27→15:15やすみなし亭15:30→15:55「13番:大日寺」16:10→16:12名西旅館
◆休憩所6:35
朝起きたら室内の温度計は-1度を指していた。私は冬用シュラフなので寒さは感じなかったが、同宿の方はスリーシーズンのシュラフで寒い寒いといっておられた。身を切られるような冷たい水で顔を洗っていると、遍路姿の男性が若者を伴って降りてこられた。聞くと、夜明け前に11番を出たが、途中で若者が道端にうずくまっていたのでここまで同道してきたとのことだった。若者は昨日山越えできずに暗闇で道を失ったらしく、寒さでかなり体力を消耗している様子だったが、何とか歩けるようだった。
気を取り直して私も出発、天気は雲ひとつ無い快晴だ。車道から山道に入って雪の残る尾根道を辿って標高差120m程を下り、再び登り返して最後に階段を上がって行くと、杉の巨木を背景に立つ弘法大師像の前に出た。
一本杉庵7:20
一本杉庵の標高は750mで、ここから標高420mの左右内(そうち)の集落まで一気に下り(8:05)、村中を通って再び標高700mの焼山寺まで登り返していく。山道は急だがよく整備されており、ピーンと張り詰めた空気の中を一人歩く気分は最高である。急坂を登って行くと林道に出て、左に15分ほど行くと灯篭が並ぶ杉並木の参道になり、石段を上ると山門があった。
「12番:焼山寺」9:10・9:40
山門をくぐって杉並木を進むと左手に手水場、右手に鐘楼があり、正面に本堂、その右手に大師堂があった。大師堂は2008年に落慶した新しい堂である。苦労した分だけ霊験あらたかに思えるのは山と同じだ。納経して 日当たりの良い場所でボンヤリしていると突然携帯電話が鳴った。電源を切り忘れていたようで、元会社の同僚が3月末で定年を迎えるという連絡だった。私が遍路中だというと驚いていたが、遍路から帰ったら一杯やろうといって電話を切った。何度か車道を横切りながら遍路道を下っていくと、やがて車道に出て、すぐ先に杖杉庵(じょうしんあん)があった。
杖杉庵10:05
解説板によると、ここは大師と並んで最初に四国八十八箇所を巡った伝説の人物とされる、衛門三郎(えもんさぶろう・天長年間:西暦800年代頭)の終焉の地とされている場所らしい。ノンビリ下って行くと山中の集落にお接待所があり、テーブルには蜜柑が箱ごと置かれていた。天気はいいし、桃の花が咲き、果樹園からは甘い匂いが漂い、足元には草花がそよぎ、甘い蜜柑が喉の渇きを癒してくれる・・・これぞ旅の醍醐味だ(10:25・10:35)。
やがて車道に合流し、鍋岩の集落を抜けると、遍路道は玉ケ峠越えのルートと車道歩きで神山温泉に迂回する道に分かれる。車道から左手の遍路道に入って山道を辿り、息を切らせながら最後の500mを急登してアスファルト道の通る玉ケ峠に上る。
玉ケ峠11:27
峠にあるお堂は宿泊予定地の一つで、広さ8畳程、電気、水、トイレがあって文句なしの環境に思えた。そのまま尾根の中腹のアスファルト道を下っていく。眼下に大きく蛇行する鮎喰川が見え、花々に彩られた山里の集落を抜けて鏡大師まで下ると、やがて鮎喰川へと降り立った。すると後から「こんにちわ」と声が掛り、振り向くと、1日目の民宿「いしだ」で同宿した神奈川の30歳の男性だった。話をしながら福原から潜水橋を渡って鮎喰川に沿って進む。若者が今日中に14番までいけるだろうかと聞くので、阿部野橋から14番まで10Km程なので17時の納経時間ギリギリでは・・・というと、それじゃ走って行きますといって走り出した。私は13番近くの旅館に予約を入れておいたのでノンビリ行く。道路沿いに遍路休憩所があったので寄ってみた。
やすみなし亭15:15・15:30
無人の遍路小屋とは思えない程の綺麗な建物で、テーブル、椅子も新しく、お茶、お菓子、絵葉書などの小物品のお接待などもあって快適だ。ただし、宿泊はできない。お茶をいただいた後、道路を30分足らず歩くと13番札所「大日寺(だいにちじ)」に到着した。
「13番:大日寺」15:55・16:12
大日寺は道路際にあり、道路を挟んで一宮神社と並んで建っている。境内はこじんまりしていて、一宮神社の境内の方が広いと感じた。すぐ前の名西旅館に行くと、50m程離れた別館に案内された。おばあさんに洗濯したいというと、やってあげるから持ってきなさいといわれ、風呂に入る前にお願いした。夕食時には6人が揃ったが皆遍路なので話が弾み、私が始めてだというと25回、10回、3回といった先達、ベテランの方々からあれこれアドバイスを受け参考になった。夕食が終わると洗濯物が廊下においてあり、お礼を言って部屋に戻る。遍路ころがしのアップダウンのせいか、両足の小指の裏側に小さな豆ができていたので、針で水を抜いてカットバンを巻く。
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