四国八十八ケ所遍路旅

行程 日付 天候 札所 歩行距離 累計
24日目 4月4日 快晴 44番~45番 38.8Km 777.0Km


「落石の 恐怖に耐える 岩本寺」


行程
千人宿記念大師堂6:20→7:52薬師堂8:10→9:50下坂場峠10:00→鴇峠10:55→11:33「44番:大宝寺」12:10→12:55民宿「和佐路」12:56→14:30「45番:岩屋寺」15:15→16:40民宿「和佐路」

◆千人宿記念大師堂6:20
雨は夜半には止んだが、強い風は一晩中お堂の扉をガタガタと鳴らし続けた。標高60mの大師堂から旧道を西に1Km程進むと国道379号線に合流し、そのまま車道を1時間程ダラダラ上がって行くと薬師堂があった。

薬師堂7:52・8:10
パンで朝食を済ませる。標高220mの落合トンネルを抜けると国道を離れ、県道42号線を東に向かってゆるやかに登って行く。やがて右手にりっぱな三島神社を見て少し行くと、今度は左手に延命厄除大師の新しいお堂があった。このお堂はガイドブックには三島神社の手前に表記されているが、こちらに移転したようだ。アスファルトの坂道から最後に山道を10分程急登して、標高570mの下坂場峠に上る。

下坂場峠9:50・10:00
峠からは遍路道で車道をショートカットしながら、標高520mの葛城橋まで下り、次の鴇峠(ひわたとうげ)へ登り返して行く。最初の1Kmはアスファルト道、残り1.1Kmは山道を辿って標高790mの峠に上る。

鴇峠10:55
峠は林の中なので展望はなく、そのまま地道を久万高原町に向かって一気に降りて行く。町に入って国道33号線を横切り、久万川に掛る橋を渡ると鳥居に屋根をつけたような44番札所「大宝寺(たいほうじ)」の山門があった。しかし、本堂はここから2Kmも先にあるのだ。町並みを抜けて山に向かって緩やかに登り、杉の巨木が続く参道を進んで仁王門に導かれた。

「44番:大宝寺」11:33・12:10
仁王門をくぐって石段途中の納経所のベンチにザックを置き、さらに石段を上がってようやく本堂に着いた。境内はやや狭いが荘厳な感じのする寺で、右手の大師堂も立派だった。境内には何度かご一緒した東京の男性がおられ、納経後、ザックのところでパンをかじりながら話をする。大宝寺を出て林道を左に進み、標高差150mを登って峠(とおの)御堂に上がったが、これが結構辛かった。峠を下ると峠御堂トンネルの出口に出て、しばらく車道を下ってから階段で村中に降りる。住吉神社の脇を通って車道を右に進み、有枝川にかかる橋を渡ると、その先に民宿「和佐路」があった。

民宿「和佐路」12:55・12:56
民宿の玄関先に荷物を置かせてもらって、空身で45番札所に向かう。すぐに車道から離れて遍路道を辿ると山道となり、1時間足らずで標高520mの八丁坂分岐に着いた。八丁坂は確かに急だったが、空身なので標高差160mを一気に登り、そのまま標高730m前後の稜線を2Km程進むと下り始めて、周囲の景色が一変した。断崖に囲まれた岩ゴロ道を下っていくと、岩壁の下に全身真っ赤な不動明王が剣をかざし、その先には逼割禅定(せりわりぜんじょう)がチムニーのような割れ目を見せ、さらに下って山門から境内に入ると、45番札所「岩本寺(いわもとじ)」の大師堂、本堂が垂直の岩壁にへばり付くようにして並んで建っていた。

「45番:岩屋寺」14:30・15:15
これまでのお寺とは全く雰囲気を異にする怪奇な景色である。本堂は標高580mにあり、周囲にはゴツゴツした凝灰岩の壁が屹立していて、いつ落石があるかもしれない・・・といった恐れと、圧迫感がある。本堂左右の岩山は胎蔵界峰、金剛界峰と呼ばれているらしい。また、後で聞いた話だと、先ほど見てきた逼割禅定は、納経所で鍵を借りて登ることができるのだそうだ。
納経後、本堂の横に掛けられた高さ7m程の梯子で岩屋に上がってみた。岩に切り取られた視界には天を突く岩峰と深山幽谷の景色が広がり、ここで座禅しながら瞑想する姿を思い描いてみた・・・。垂直に近い木製の梯子は太くて握ることができないので、下りの時には結構緊張させられた。後で聞いた話では、この梯子は以前に事故があって登れなくなっていたそうだ。
本堂の階段下にあった"穴禅定"と呼ばれる奥行き10m程の真っ暗な洞窟に入ってから、駐車場に向かう。こちらは長い石段下りが続き、自動車でこられた方でも結構大変だろうと思われた。土産物屋の並ぶバス乗場から川沿いに進み、奇岩の立ち並ぶ古岩屋から山道を進んで八丁坂の登り口に至り、そこから来た道を戻る。

民宿「和佐路」16:40
宿泊者は3人だったが、それぞれ到着時間が異なっていて、洗濯、乾燥、入浴もスムーズに済んだ。夕食に出された土筆の煮物と蕗の薹のテンプラには季節感が感じられて嬉しかった。野宿に慣れてくると、逆にフカフカのフトンでは寝付きが悪くなるのか、夜中に何度も寝返りをうった。


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