四国八十八ケ所遍路旅

行程 日付 天候 札所 歩行距離 累計
13日目 3月24日 曇りのち晴れ 35番~36番 34.1Km 405.3Km


「横浪の リアス海岸 喘ぎ行く」


■行程
白石旅館6:45→7:25「35番:清瀧寺」7:45→8:25白石旅館8:30→9:38塚地峠9:50→11:08「36番:青龍寺」11:35→12:55帷子崎13:10→14:10くろしお展望公園14:30→15:35中の浦バス停15:45→16:20須崎・編路休憩所

◆白石旅館6:45
靴から水を吸ってぐっしょりした新聞紙を取り出し、玄関先にザックを置かせて貰って空身で出かける。今日は曇りのち晴れとの予報だ。水路の通る商店街を北に進んでバイパスを横切り、高知自動車道の高架をくぐって東に進み、八丁坂と呼ばれる急な参道を石仏に見守られながら1Km程上ると、鬱蒼たる樹木の中に36番札所「青龍寺(きよたきじ)」の山門が建っていた。

「35番:清瀧寺」7:25・7:45
寺の標高は140m程である。合掌、一礼して仁王門から一直線に続く急な石段を100段程上ると、高さ15mもある薬師如来立像の右手に本堂、左手に大師堂が並ぶ。納経後、本堂の右手に回ると苔むした岩の間から清水が流れ落ちていた。石段を下って仁王門の天井に描かれた龍の絵を見上げてから、来た道を旅館まで戻る。

白石旅館8:25・8:30
次の36番札所へは14kmと長く、途中には標高200mの塚地峠越えが待っている。土佐市街を抜けて県道39号線を30分程進み、塚地坂トンネル手前の小さな公園から右の山道に入っていく。道標には峠まで800mとあり、地道と石畳のジグザグ道を30分ほど登って峠に着いた。

塚地峠9:38・9:50
暖かい日差しのある峠で一息入れる。若者が一人いたので挨拶すると、役所の方で、町のハイキング行事の立会いをしているとのことだった。私が「役所の方がそこまでやる必要があるんですかね~」と言うと、若者はエッ?というような顔をしていたが、ポイントのずれた税金の無駄遣いに思えて仕方がなかった。
峠を下り始めると海の向こうに横浪半島が見えてくる。宇佐の街に下り、宇佐大橋に向かって海岸線を進む。長さ645mの大橋は、渡るというよりも越えるといった感じだ。橋の上から見下ろす海は真っ青で綺麗だった。宇佐湾に沿って横浪スカイラインと名付けられた県道を進み、遍路道に従って右折し、石仏の並ぶ参道を行くと、36番札所「青龍寺(しょうりゅうじ)」に至る。

「36番:青龍寺」11:08・11:35
納経所の横から真っ直ぐ石段が続き、途中の仁王門の左手には赤い三重の塔が建っていた。塔は平成4年の建立と新しいが、七分咲きの桜が重なってよい絵になっている。一気に170段を上って本堂前に出ると、ちょうど遍路姿の団体の方が納経中で、しばらく待ってからお参りする。

36番から須崎へ向かうルートは、横浪スカイラインが通る半島の尾根道と、宇佐大橋を戻って浦ノ内湾沿いを進むルートに分かれる。私は、アップダウンはきついがリアス式海岸の眺望が素晴らしい・・・という尾根道を選ぶ。来た道を戻って横浪スカイラインの坂道を2Km程登って行くと、右手に36番への遍路道が分かれていた。どうやら、36番から直接上れる遍路道を見落としていたようだ。黒潮ラインは海抜数メートルから一気に130mまで高度を上げ、その後も大きなうねりで160m近くまでアップダウンを繰り返すタフなルートである。眼下に開ける太平洋の眺望と、鋭く切れ込んだ海岸線の景色に助けられながら上り続け、帷子崎で一息入れる。

帷子崎(かたびらざき)12:55・13:10
次々と現れるリアス式海岸は期待通りの美しさだが、荷物を担いでの車道歩きは苦行でもあり、夏場だと耐え切れないなあ~というのが本音である。休憩後も緩やかなアップダウンが続き、海岸が見えるたびに立ち休止しながら歩き続けると、ようやく緩やかな下りになって、くろしお展望公園に着いた。

くろしお展望公園14:10・14:30
太平洋が大きく開ける公園には武市半平太の銅像が建っていた。2010年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」の主役は福山雅治演じる坂本龍馬だが、武市半平太にも魅力を感じつつ見ていた。解説板によると武市瑞山(たけちずいざん)こと半平太は龍馬の同輩で剣術に優れ、時勢を受けて土佐勤王党を結成。参政の吉田東洋を暗殺して藩論を尊皇攘夷に転換させるや、江戸、京都での尊皇攘夷運動に奔走しその中心的役割を担ったが、文久の変(1,863年9月、会津藩、薩摩藩を中心とした公武合体派により、長州を中心とした尊王攘夷派が京都から追放される)により政局が一変すると前藩主・山内容堂によって投獄され、1年8ヶ月と20日の獄中闘争を経て切腹を命じられ、土佐勤王党は壊滅する・・・とあった。

道は長い下りとなって浦ノ内湾側に降り、やがて中の浦で県道23号線に合流した。

中の浦15:35・15:45
今日はこの先の鳥坂トンネルを抜けた辺りにある遍路休憩所に泊まる予定なので、酒屋でパン、お酒、つまみなどの食料を調達する。トンネルを抜けると、ザックと大きな手荷物を持った歩き遍路の方が道端で休んでおられたので挨拶する。

須崎・編路休憩所16:20
休憩所は板敷きの部分が広くて二人分程のスペースがあり、側面の囲い(柵)もあって野宿にはうってつけと思われた。問題は道路際なので自動車が煩そうだったが、耳栓を持っているので大丈夫だろう。休憩所は隣接する民家の方が管理されているようなので挨拶に行くと、簡易トイレや水道などの使用説明をいただいた。遅れてやって来られた先ほどの男性は神奈川の方で、全て野宿で回っておられるとのことだった。
お接待に2個もらったというブンタンの一つをいただいたので、お返しにウイスキーとつまみを提供させていただき、あれこれお話させていただいた。風が出てきたのでツェルトを張ったが、朝起きたら前回同様、内側が結露していた。


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