四国八十八ケ所遍路旅

行程 日付 天候 札所 歩行距離 累計
11日目 3月22日 晴れ 28番~31番 37.4Km 337.1Km


「五台より 高知の夜景 眺めけり」


■行程
善根宿6:30→9:40「28番:大日寺」10:10→11:15大師堂11:35→12:32「29番:国分寺」13:00→14:20お好み焼き14:40→15:10「30番:善楽寺」15:25→16:40「31番:竹林寺」16:55→17:00五台山・展望台

◆善根宿6:30
昨日の泊りは私一人で、潮騒を聞きながら寝袋でぐっすりと眠ることができた。朝の室温は7度、支度をして西分駅のトイレに寄り、ポカリスエットで喉を潤し、朝日を浴びながら早朝散歩の人たちと挨拶を交わしつつ自転車道を歩く。丘陵を登って一斜線幅の短いトンネルを抜けて夜須に入るとサイクリング道は終わった。夜須で久しぶりに遍路姿の方に追いつかれたが、その方は6キロペースと早くて30分ご一緒するのが限度だった。先に行ってもらい、コンビニでバナナとお握りを買って朝食とする。
香我美の岸本から旧道を進み、赤岡から国道を歩いて、野位の街から北に進むとやがて田園が広がり、急な石段を150段程登って28番札所「大日寺(だいにちじ)」に着いた。

「28番:大日寺」9:40・10:10
仁王門をくぐると正面に本堂、右手に大師堂が建ち、左手の鐘楼横には多くの石仏が並んでいて、静かでほっとした気分になる。誰も居ないので声を出して納経するが、まだ次の文句を思い出しながら唱えるのでギクシャク感が残る。

村中を抜け、物部川に架かる戸板島橋を渡って田園の中の一本道を進むと新しい大師堂があった。

大師堂11:15・11:35
お堂の前の桜が満開で、ベンチにすわっていると、ポカポカ陽気に眠気を誘われる。歩き遍路の男性が来られたので挨拶したが、無口な方で話しかけるのがはばかられた。しかしそのことを不快に思うこともなかった。遍路の方はそれぞれにいろんな想いを持って来られており、基本的には同行二人の世界であり、遍路同士の交流を求めているわけでもないからだ。この距離感が分かってくると気分的にも随分と楽になる。JR土讃線の踏切を渡り、500m程先を右折し、国分橋を渡って菜の花畑の小道を辿ると29番札所「国分寺(こくぶんじ)」に着いた。

「29番:国分寺」12:32・13:00
名前の通り、この寺は土佐の国分寺である。二層の堂々たる仁王門をくぐって境内に入ると、右手に鐘楼、正面奥に本堂、その左手に大師堂が並ぶ。現在、金堂の中に収められている、口径47cm、高さ63、8cm、重さ225Kgの梵鐘は、その形状から平安時代前期のものとされ、国の重要文化財に指定されているそうだ。境内の枝垂れ桜はまだ三分咲きである。納経を終えた頃にバスが二台やってきて境内が賑やかになった。
再び田園の中を進み、国道32号線の高架を潜って国分寺川に沿って西へ進み、小山橋から右に進むと逢坂峠に向かって上り坂が続く。昨夕、善根宿の萩生さんから今日は逢坂峠手前の遍路休憩所に泊まることを勧められていたので、途中のスーパーで食料を仕入れようと小道を降りていったが、店は閉まっていた。

お好み焼き休憩14:20・14:40
敷地内にあったお好焼き屋さんで聞くと、店は2年近く前に閉店したが、今でも遍路の方が知らずに立ち寄るらしい。夕食のあては外れたが、それじゃ今夜はお好み焼きだ!と気持ちを切り替えてブタ玉を注文する。ベンチで焼けるのを待っていると、店の人が良かったら食べてくださいといって、赤飯とポテトサラダを接待していただいたので、ありがたくいただく。
女将さんにお礼をいい、お好み焼きの入った袋を片手に車道を上がって行くと遍路休憩所(ヘンロ小屋第5号蒲原)があった。しかし、道路際で隙間の多い構造は、今夜の雨予報には不向きだったので先に進むことにした。逢坂峠を越え、坂道を下って街中に入って遍路道を辿ると30番札所「善楽寺(ぜんらくじ)」に着いた。

「30番:善楽寺」15:10・15:25
土佐神社参道の右手に石柱門が立ち、境内に入ると左手に大師堂、本堂の順で並んでいる。納経を終え、隣の土佐神社に挨拶してから楼門をくぐって一路南下する。JRの土佐一宮駅の西側の踏切を渡り、国分川を渡って正面の五台山に向かって広い車道を進み、途中から土佐鉄道の文珠通駅に向かって斜めに進んで高須橋を渡る。踏切を渡って駅前を東に進んでから再び南進し、山裾を左に巻いて村中から五台山に取付いて山道を登って行く。
登り切った所には植物学者の牧野富太郎博士の立派な記念館があった。植物公園として整備された遊歩道を五重塔に向かって進み、正面入口を出ると31番札所「竹林寺(ちくりんじ)」の石段下に出た。

「31番:竹林寺」16:40・16:55
竹林寺の標高は120m程である。石段を上って二層の山門をくぐると、参道脇に大きな皿鉢に色とりどりの花が配され、次の石段を上がると右手に本堂、左手に大師堂が向かい合い、大師堂の右手には美しい五重塔が聳えていた。資料によると、五重塔は高地県下唯一とされ、境内の庭園は、高僧・夢窓国師によるもの、また”よさこい節”の歌詞中でかんざしを買った坊さん(純信)がいた寺としても知られているそうだ。
本堂から裏に抜けて車道を3分程上がると五台山の展望所があった。

五台山・展望台17:00
標高140mほどの展望所には二階建ての建物があり、屋上が展望台になっていて眼下に浦戸湾と高知市街を見下ろすことができた。建物の横に回るとそちらも展望所になっていて、トイレの横に木製テーブルがあり、広い庇があったので、そこにツェルトを張ることにする。
今日は思わぬ長丁場になったが、何とかねぐらを確保できたことに感謝する。ここまでブラブラと手で下げてきた冷たいお好み焼きを食べ、夕闇と共に煌きを増す高知市街の美しい夜景を眺めながら水割りを楽しんでから、19時頃に寝袋に入ったが、その後、何度か若者グループやアベックがやって来て、夜景に歓声を上げる声が23時頃まで聞こえた。


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