■行程
自宅6:20=7:28京都駅7:50=高速鳴門西バス停10:20→10:40「1番:霊山寺」11:00→11:15「2番:極楽寺」11:30→12:10「3番:金泉寺」12:25→13:15昼食13:40→14:00「4番:大日寺」14:10→14:30「5番:地蔵寺」14:45→16:00「6番:安楽寺」16:15→16:30「7番:十楽寺」16:45→16:50民宿「いしだ」
◆自宅6:20
女房に駅まで送ってもらい、満員の通勤電車に違和感を覚えながら京都駅に向かう。今朝は冷え込みが厳しく、駅前の高速バス乗場に行くと横殴りの雪が降り始めてきて、あわてて駅に避難する。
京都駅7:28・7:50
JR四国の高速バスには15人程が乗車、明石海峡大橋を渡る頃から青空が広がり始めてホッとする。車内から家族に初メールを入れ、今日の予定を再確認しているうちに四国へ上陸。高速鳴門西バス停で降りたのは私一人だった。
鳴門西・高速バス停10:20
陸橋で高松自動車道を越え、左手にドイツ館を見ながら坂東谷川を渡って、大きな赤鳥居から南に進むと、20分足らずで一番札所「霊山寺(りょうぜんじ)」の仁王門の前に出た。
「1番:霊山寺」10:40・11:00
本格的な遍路シーズンには少し早いせいか、人は意外に少なかった。門前で合掌、一礼し、手水場で身を清め、鐘楼で一突きしてから正面の本堂に向かう。左手の古色蒼然とした多宝塔が青空に映える。本堂前では蠟燭と線香3本を供え、賽銭、納め札を入れてから納経するが、納経は般若心経のみとさせていただいた。まだ暗唱できていないので小さな声で「観自在菩薩・・・」と読み上げる。次に右手の大師堂に回って同様の作法を行なう。そして、巡拝者はここで十膳戒を授けられ、弘法大師の弟子となって遍路に旅立つのだ。納経後は納経所で墨書、御朱印を頂くのが一般的で(300円)、ともすればこれを目的に回られる方も多いとのことだが、これは行わず、境内を回った後、山門で合掌、一礼して二番札所に向かった。
※十膳戒:不殺生(ふせっしょう)、不偸盗(ふちゅうとう)、不邪淫(ふじゃいん)、不妄語(ふもうご)、不綺語(ふきご:無駄な噂話)、不悪口(ふあっく:乱暴な言葉)、不両舌(ふりょうぜつ:他人を仲たがいさせるような言葉)、不慳貪(ふけんどん:異常な欲)、不瞋恚(ふしんに:異常な怒り)、不邪見(ふじゃけん:間違った見解)
ガイドブックに従って県道12号線を西に進むが、自動車の騒音が煩いので一本南の旧道に入る。旧道は車も少なく静かで、旅の雰囲気を味わいながらノンビリと歩いて行くと、15分程で朱塗りの大きな門のある2番札所「極楽寺(ごくらくじ)」に着いた。
「2番:極楽寺」11:15・11:30
仁王門をくぐって右に進み、白砂青松の庭園を回りこむと長命杉の巨木が枝を広げる。その奥の石段を50段ほど上がると本堂で、右手の一段高い所に大師堂があった。納経を終え、県道と並行する北側の旧道を進む。遍路道には石仏や古い道標が多くあり、歴史を感じさせてくれる。満開の梅の花を見ながら田園を抜け、直前から畦道のような所を通って寺の横から3番札所「金泉寺(こんせんじ)」の境内に入った。
「3番:金泉寺」12:10・12:25
本堂、大師堂に納経する。大師堂の横には“黄金の井戸”なるものがあり、中を覗いてから山門に向かうと、右手に鐘楼、左手に八角形をした色鮮やかな観音堂があった。鐘を撞く場合は寺に入るときのみで、出るときに撞いてはならない、という心得に従ってそのまま仁王門を出る。鮮やかな朱色の山門前で合掌、一礼している白装束姿を見ると、これぞ遍路といった感じで、私も菅笠くらいは身につけても良かったかな・・・と、つい思ってしまう。今日はまだ食料を買っていないので、板野の街並みを抜けた辺りにあったうどん屋に入る。
昼食13:15・13:40
店のご主人に「今日はどこまで・・」と聞かれ、5番札所先の善根宿に泊めてもらうつもりだと話すと、この時間なら7番まで行けるよといわれた。ガイドブックにその辺りの宿が載っていないというと、一泊二食5500円の民宿を紹介してくれたので電話を入れる。店を出てしばらく行くと徳島自動車道の高架をくぐる。山門の両側に大草鞋が掛る愛染院を過ぎると道は次第に細くなり、山道で峠を越えると北に向かい、再び高速の高架をくぐると車道に合流した。ここで急に雪が降り始めてきた。傘をさしてアスファルト道を北に向かって緩やかに登って行くと、周囲を山に囲まれた4番札所「大日寺(だいにちじ)」の山門が見えてきた。
「4番:大日寺」14:00・14:10
朱塗りの山門の二階部分が鐘楼になっているのが珍しい。正面奥の階段を上って本堂に納経後、本堂右手の回廊を進んで大師堂の横に出る。雪は止んでいたが風が残り、蠟燭、線香に火をつけるのが難儀する。次の5番札所までは2Km程で、細道との合流地点まで戻ってそのままアスファルト道を南に進んで徳島自動車道の高架をくぐると、5番札所「地蔵寺(じぞうじ)」まではすぐである。
「5番:地蔵寺」14:30・14:45
仁王門をくぐると境内には樹齢800年を越えるという大イチョウの巨木が枝を広げていた。正面に大きな本坊を見て、左手の本堂、右手の大師堂に納経する。後で気が付くのだが、本堂裏手の奥の院「羅漢堂」に200体余り残されているという、木造造りの等身大の羅漢像を見逃したのは残念だった。再び県道12号線に沿って旧道を西に進み、泉谷橋を渡って集落を幾つか抜けて、6番札所「安楽時(あんらくじ)」に向かう。
「6番:安楽寺」16:00・16:15
この寺の山門は仁王門の間に竜宮城のような姿の門が挟まれている珍しいものだった。正面の銅葺き鉄筋コンクリート造りの本堂は火事で再建されたそうだが、その右手の大師堂は焼け残ったらしく、万治4年(1661)の建造とか・・・。納経して次の7番札所「十楽寺(じゅうらくじ)」向かうが、距離は1.2Kmと短い。
16:30「7番:十楽寺」16:45
こちらの山門は6番の山門から左右の仁王門を除いた姿で、一階部分が白、二階が鮮やかな朱塗りの鐘楼門
で竜宮門と呼ばれているそうだ。石段を上って中門をくぐると、広い境内には山を背にして見事な本堂が建ち、 本堂前から左手の急な石段を上ると大師堂があった。時間が遅いのにも関わらず20人程の団体がおられたので、一緒に納経させてもらう。うどん屋のご主人に紹介してもらった民宿「いしだ」は寺から5分程の所にあった。
民宿「いしだ」16:50
普通の民家と変わらぬ造りだが新しいので気持ちが良い。夕食は東京在住10数年という韓国人のご夫妻とフリーターの若者と、4人で食卓を囲み、話が弾んだ。韓国人のご夫妻は高知まで歩くつもりらしいが、奥様の方が不安らしく、焼山寺の山越えについて民宿のおばあさんに尋ねておられた。
何はともあれ、初日に7番まで打ち終え、お寺での作法、遍路道の状況、町や村々の様子など、現地での感触を得て気持ちも落ち着いてきたようだ。宿泊は初日から予定変更となったが、こちらは織り込み済みのこと、明日からも状況に応じて泊まるところを探せば良いだけだ。
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