オリジナルの心地よさをつくる





・建築について

・地球環境と建築








































Copyright(c)2004
K.ASADA ARCHITECT & ASSOCIATES

 
プロローグ

建築について  −気持ちがいい ・ 古美る ・ 佇む                          

私は旅行が好きだ。美しく自然に溶け込んだ建築、街並み、そしてそこに暮らす人々を見たいから旅に出る。旅はいつも新しい発見と感動を与えてくれ、月日を経て風景の中に
佇む建築や街並は多くのことを学ばせてくれる。今、最も興味があるのは古代オリエント文化の発達したアラビア・北アフリカなどのイスラム圏、そして地中海都市、インドなどである。特にイスラム圏は興味深い。この地方の集落は砂漠の中に点在し、暑さを避けるため厚い壁で囲われた家が密集している。そしてこれらの家々では外部から独立した中庭という壁で囲まれた空間を中心に生活が営まれている。この中庭空間は、うまく緑を配し、自然を取り入れ光と水を操作することで乾いた風土の中にオアシスを形成している。そしてそこで生活するものの気持ちを和らげ潤いを与えているのである。このように立体の中にあいた"壁"で囲まれた中庭空間が、人々を外界の喧騒からうまく遠ざけ、しかも人間と自然とを見事に結び付けていることにいつも感動するのである。

 元来、建築は自然風土の中で成り立つ実用的なものであり、人々の気持ちを楽しませ、安らかで豊かにするものでなくてはなりません。絵画などの純粋芸術のように自己を強く主張するものではなく、常に社会との関連の上に存在し、時代を超えて社会や人を優しく
見守り支えていく器だと考えます。
 私が思う良い建築とは、万人をくつろがせるものであり、時代を超越し、
流行(ファッション)に遠いものでなければなりません。つまり建築はその時代に属するとともに、気品を持って歳を重ねるべきものなのです。 建築を行う上で、建築家は特定の形・材料・様式にこだわるべきではありません。頭をやわらかくし心が自由であることで、建築はその地域の文化・社会に属するものとなり建築本来の目的を成すのです。

 我々に与えられている道具は、光・影・テクスチュア・色彩・水・風・床・壁・天井そして自然空間という基本的なデザインエレメントです。 我々の目指すところは、それらのデザイン要素を分析し組立てるコーディネーターとしての役割、そしてそれらをもとに“
より質な高い空間”、“今までにない価値”を具体化していくクリエーターとしての役割を担うことです。デザインプロセスは無限であり、その中から最良の方法を見つけ出し、可能な限りの熱意をそこに注いでいきたいと思います。

 今一度、建築が立つ「場所」や「風景」の持つ力、そこに刻まれた思いを読み、建築の在り様を思考する。そして、
素直に気持ちいいと思える建築、流行に流されず時と共に成長し美しく歳を重ね、「場所」「風景」にいい雰囲気でしっくり佇む建築を目指します。

 また、建築を行う上で地域の人々との出会いを大切にし、その空間がその空間に在る日々の生活の中で、人々が幸福・平和・ユーモア・精神性・神秘性といったものを感じるように努力し、創造していきたいと思います。 デザインコンセプトが真に価値ある人間生活に基づいたものである時、また、人々の暖かい理解と惜しみない努力に支えられた時に、建築が一つの目的に達するように思います。



地球環境と建築  −サスティナブル・デザイン−

 近年、地球温暖化による気候の異変を肌で感じるようになりました。このままでいいのでしょうか?今、建築は、地球環境との関係を無視しては成立しなくなっています。建築に係わる人は、建築が環境に与える影響を認識し、これ以上地球環境を悪化させないという決意が必要です。

 古い建築をすぐに建替える、冷暖房に全面的に頼るなど、もう通用しなくなりつつあります。消費と便利さに慣れた生活を改めると共に、環境負荷の少ない材料で構成した建築、エネルギー消費の少ない建築など地球環境の持続可能を目標に建築をデザインしていかなければなりません。つまり
サスティナブルな建築・デザインをするということです。

 そのために、建築家はサスティナブルな建築をつくるという社会的職能としての責任を持ち、サスティナブルであるための外してはならない
最低の基準を持つこと、そして実行していくことが重要だと思います。 その中で、建築は社会の要求に応え、新しい価値を提案し、人や社会に行動を引き起こす仕掛けをすることが重要なのです。