「ねぇねぇ。君、青学の越前リョーマ君だよね?」
「だったら何っスか?」
突然慣れ慣れしく声をかけられ、相手を威嚇するように睨みつける。
(?……どこかで…会った?……)
冷たく言いながらも前に見たことがある気がして、リョーマの頭の中には疑問が浮かんでいる。
モヤモヤした気分を何とか解消しようと記憶の箱を一つ一つ確認するのだが、思い出せない。
すると相手の言葉の方が早かった。
「俺ね、山吹中の千石清純っていうんだけど、俺と付き合ってくれないかな?」
予想もしない……というか、あまりにも飛びすぎる言葉にリョーマは考えるのを放棄した。
「俺、アンタとは初対面のはずだけど?」
「そんなの気にしない、気にしない」
「少しは気にしろ! テメェじゃそいつとはつり合わねーんだよ!!」
新たな男跡部景吾の乱入だった。
自分の言いたいことを代弁してくれたのはいいのだが、その後の言葉はどこかおかしくないか?
とリョーマは混乱し始めていた。
当然だろう、冷静に二人の言葉を、言葉の意味を理解すると、二人とも同じことを、つまりリョー
マに告白しているのだから。
二人、千石と跡部はリョーマが混乱していることも気付かずに低レベルな争いをヒートアップさせ
る。
「跡部君じゃないか。氷帝の部長がこんなトコで何してるんだい? 練習しなきゃダメだよ」
「テメェに言われたくねーんだよ。テメェらこそしっかり練習しねーと全国なんて夢のまた夢だぜ。
あ〜ん」
「大丈夫、俺はラッキーだから。だから、今日もラッキーなコトに越前君と会えたしねv」
「コイツを見つけたのは俺の方が先なんだよ!! テメェは帰って練習でもしてろ!!」
…………。
自分に声をかけてきたくせに、自分を完全に無視して言い争いをしている二人に、最初は呆然と朧
気に見ていたリョーマだったが、やはりといえばいいのだろう、至極当然キレたのだった。
◆◆コメント◆◆
やっと、やっと三人のご対面です。
リョーマ主人公なのに、二言しか喋ってないです……
でも、最後でキレたので次はたくさん喋ってくれるはずです。はい。
2005.04.12 如月 水瀬