(ったく彼奴らときたら、休日になったら毎回毎回押し掛けやがって……。こっちの都合も考えやが
れ!!)
同じテニス部でレギュラー同士でもある下僕……もとい悪友たちを思い出しながら、悪態をつくの
は、そんな悪友たちをまとめる地位にいる氷帝学園中等部テニス部部長跡部景吾。
容姿淡麗、頭脳明晰、傲岸不遜を地でいく日本で五指に入ると言われるほどの跡部財閥の御曹司で
ある。
(こっちは時間がねぇってのに!! 彼奴ら全員明日の部活は走り込みだっ!!)
職権濫用だろうと何だろうと跡部には関係なかった。
探しモノが見つからない苛立ちをぶつける相手が欲しかったのだ。
理由などは後からどうとでも言えるのだから。
悪友たちから漸く解放され、一人で考える時間が出来た。
喫茶店でも入るかと店を探すが本日は生憎日曜日。
そのうえ、この界隈は人気の店が集まっているため、どこの店もいっぱいで入ることが出来ず並ん
でいる人が見える。
「ちっ……」
例え舌を鳴らそうとも客が急にいなくなるわけはない。
仕方なしに少しブラブラすることにするのだった。
(ウゼェ……)
歩く度に跡部の表情はどんどん不機嫌なものになっていく。
どうしても人目を惹く容貌なので視線が集まるのは仕方ない。
それを我慢出来るのかといわれると、超俺様気質な彼には聞くだけ無駄である。
とうとう我慢の限界が訪れ、キレようとした瞬間。
それほど大きな声ではなかったのだが、跡部の耳にはどの音よりも鮮明に届いた。
「ねぇねぇ。君、青学の越前リョーマ君だよね?」
世間で自分の好敵手と呼ばれている青学の手塚が目をかける期待のルーキー。
少し前にストリートテニス場で会った彼の印象は鮮烈だった。
溢れ落ちそうなほど大きなアーモンド型の瞳。強い者に怯むことないソレは強い色を宿している。
一度見たら人を虜にする魔力を秘めているのだろうか? 実際に試合をした者、彼のプレイを見た
者はほとんどの者が彼に気をかけている。
かくいう跡部もその一人だった。
リョーマに声をかけた人物が印象的な髪色から遠目にも確認出来たため、遅れてはならないと彼
等の元へ急ぐのだった。
◆◆コメント◆◆
はい、予告通り今回は跡部視点です。
彼はナニかを探しているみたいですねぇ。一体何なのでしょうか?
まあ、簡単に想像出来ると思いますが(笑)
次は三人勢揃いです。どうなることやら(←オイッ!)
2005.04.07 如月 水瀬