君という光 第二章 6


  



 おそるおそる、細木を縄で留めた、簡易の門のような入り口に近付く。

 十数個ほどのテント、モンゴルの人々が住居にしているようなものが、大小、丸型三角型と多少の

違いはあったが、それが中心にある井戸を軸として円状に並んで立てられていた。

「あれ、ちょうどいいかな」

 視線の先には大人は到底無理だろうが、子どもならきれいに隠れられそうな大きさの岩が転々と転

がっていた。

 足音を立てずにそっと行動し、村に一番近い岩に身を潜める。

「ここまでは順調だな。でも、スゴイ疲れる。登別の温泉の素入れた熱いお風呂にゆっくり入りたい。

上がったら冷えたファンタ飲んで、カルピン抱き締めて、フカフカの布団で時間気にすることなく寝

たい………………」

 このような状態のため、願望は尽きることなくどんどん溢れ出てくる。そして最後には深い溜め息

のみが残ったのだった。







 ちょうどその時、テントの中から数人の女性が出てきた。

 手には大きめの鍋らしき物を持っているので、どうやら井戸の水を汲みにきたようだ。そして、そ

のことがリョーマに新しい事実を知らせる。

「……服違うじゃん…………見つかったら、良くて遠目に見られたり、無視かな? で、悪ければ牢

みたいなトコに入れられて最悪死刑とか?………………」

 もう考えるのすらも嫌になってくる。

 ほんの数時間前までは何事もなく平穏な生活をしていたというのに、一体自分が何をしたというの

だ!! 叫びたいが、もし見つかれば生命の危機に晒される可能性がないとは言いきれないので、一

生懸命ソレを抑えた。

「…………」

 冷静になるため沈黙すること数分。

 新たな疑問がリョーマの頭に浮かび上がる。

「もしイイ人に会ったとして、日本語か英語通じるわけ?…………」

 確かめる術はあるのだが、やはり生命を賭けなければならないため、再び沈黙が訪れる…………



 はずだった。いや、確かに静かになったのだがそれは違う意味でであった。

 ガッ!!

「っ!?」

 背後から突然何者かによって思いっきり頭を硬いもので殴られた。

 急激にリョーマの意識は暗い闇の中へと落ち始めるが、相手の顔を見ないことには報復も出来ない

ため、今持てるだけの力を使って薄れゆく意識の中、殴った人物の顔を記憶にインプットしようと試

みる。しかし、殴られ、クラクラしている頭は思うようには動かず相手の腰の辺りを見るのが精一杯

だった。

(クソッ! ……景吾、キ…ヨ…………)

 リョーマの意識は完全に途切れたのだった。



















      ◆◆コメント◆◆
       リョーマ!!!
       ごめんね。ごめんねm(__)m
       でも、どうしてもこのシーンは必要なのよ!!だから管理人を恨まないでね。
       恨むなら、貴方の側にいない跡部と千石を恨んで頂戴!!(←責任転嫁?)
       ということで、リョーマ意識不明(^_^;)
       リョーマの運命はいかに!?
       次はおそらく跡部サイドになるかと思われます。はい。
       でわでわ

             2005.06.05  如月 水瀬